俺は、両親に呼ばれて田舎に帰った。
仕事が忙しくて、3年ぶりの帰省だった。
三蛇祭があると言う。
地域の老人たちも子どもの頃以来だから、
山中には、かなり広い空き地があり、
ただただ何もない地面むき出しの空き地だから、子どもの頃は、
そこに酒樽を3つ持っていくだけという簡素な祭りらしい。
起源は、遥か太古の昔……
まだ大和の国が成立する以前に、この地に大雨が降り、
その雨を止めてくれと村落の者たちが天に3日祈った所、
豪雨を止めたのが始ま
まったくの埒もない民間伝承だった。
仕来りに従い、年寄りや女たちは、
酒樽
最初は、馴染の友人たちと積もる話もあって、
やっとの事で木々が開けて、目的の場所に着いたが、
俺たちは、
そこには真新しい立派な社があり、その中に巨石が置かれ、
女たちは、
彼女らは、こちらを見ながら微笑んでいた。
俺は、地元に残って農業を継いだ年下の奴に小声で、
そいつには覚えがないようだった。
俺たちは、
その途端、辺りを霧が急激に包み込み始めた。
やがて隣りの奴の顔さえ見えない程の濃霧となった。
そこで女たちの高い笑い声が霧の中に響き渡った。
そして、
しばらくして霧が晴れた。
そこには、ただの広い空地しかなかった。
俺たちは、ただただ、呆然とそこに立ち尽くした。