以前、会社からの帰り、同じ職場の方の部屋に立ち寄りました。
2階建てのアパートの1室だったのですが、夜の20時過ぎでしょうか、
ノックがあり、彼はドアのほうに行きました。
10分くらい過ぎたころ、静かに戻ってきた彼が
「またか・・・またお祓いしないと」とつぶやいたので、
「何ですか?」と聞いたところ、嘘みたいな話でした。
訪ねて来たのは、1階の角の部屋に住んでいるOLで、
アパートの管理人である彼に苦情というかお願いに来たのでした。
このアパートは彼の親の所有物で、
会社員である彼が会社員の傍らで管理人をしていたそうです。
そのOLが言うには、
「どうも誰かが私の部屋に入っているようだ。
というのも会社から帰ると、水道の水が出っぱなしだったり、
お風呂の水があふれて床が水浸しになっていることが多々ある。
水道やお風呂の水は、しっかり止めてるはずなのに、帰ってくると流れている。
そこで友人に留守番をしてもらったことがあるが、そのときは何も起きない。
あまりにも頻繁に起きるので気持ちが悪い。
部屋のカギを交換してもらえないでしょうか」
管理人である彼は、「わかりました」と答えたそうですが、怖いのはここからの話です。
そのOLの話を聞いて、
彼が「またか、またお祓いしないと」と答えた理由は、こうでした。
ずっと前に、その部屋に住んでいた水商売の女性が、その部屋のお風呂で自殺した。
その後、同じ部屋にあとから住んでいた女性から、
同じように「水が漏れる」という苦情があり、
そのときにお祓いをしたら現象が収まっていた。
時は流れ、その同じ部屋で、また同じ現象が起きている。
もちろん、部屋だけは同じで住人も違うのに。
この件、知っているのは所有者と管理人をしている彼だけで、
住人である件のOLは知らないのです。
理工学部出身の彼は、普段はそんな非科学的なことを露ほども口にしない人だけに、
余計、非現実的な世界に迷い込んでしまったような感覚にとらわれつつも、
ぞーーっとした出来事でした。