にせもの

皆様は、行ったことのないところで見かけられた、その日ずっと家にいたのに「○○にいたよね」等言われたことはありますか?

私は小学2年生の夏休み、お盆に近くの公園で花火大会に参加していました。厳しい両親からは、「迎えに行くまで絶対に公園のフェンスから出るんじゃないぞ」と言われておりましたので、きちんと約束を守っていました。花火大会が終わると、家がお隣のおばさんに、「送ってあげるから一緒に帰ろう」と言われたので、私も、おばさんに送ってもらうなら大丈夫だろうと思って一緒に帰りました。
家に着き、「ただいまー」とドアを開けると、両親はきつい目で私を見ました。「あれだけ公園の外に出るなと言ったのになぜ守らなかった」と、開口一番激をとばされました。 私は、「お隣さんが一緒に帰ってくれただけだよ」と言うと、「さっきからずっとうちの周りをぐるぐるまわって遊んでいただろう!!!」と、両親から見に覚えのない事を言われました。その日は両親ともお酒を飲んでいましたので何を言っても一喝されてしまうので、泣く泣く怒られて終わりました。

ですが納得のいかない私は次の日母に昨日の出来事を聞くと、思わず震え上がりました。

母の話によると、花火大会が始まって、夜7時30分頃、暑くて開け放っていた台所の小さな窓から、砂利を踏む足音が聞え、茶の間にいた父が、「誰だ!そこで何してる?」と問いかけると、私の声で、「T美(私の名前)だよドアを開けて」と言ったそうです。
物騒ですが、私の家では全員が帰ってくるまで鍵をかけません。なので父が、「カギは開いてるだろう、早く入りなさい」と言うと、また、「T美だよ、開けて、開けて」と、頑なに繰り返すそうです。そして、砂利を踏みながら、空いている窓から、同じセリフをひたすら繰り返していましたが、両親も重い腰を上げてドアを開けることはしなかったそうです。そのうち私が帰ってきたので、開口一番怒られてしまった、と言うことでした。

その後お隣さんの証言もあり、両親は信じてくれましたが、私と同じあの声はなんだったのでしょう。また、もし玄関のドアを開けていたら、いったい誰が入ってきたのでしょう。
ちなみに私は自分の事を名前で呼びません。そして、社会人になるまで、なってからも時々○○で見かけたよ、と声をかけられます。そのたびあの出来事を思い出し、ぞっとしてしまいます。

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