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視線

まだ私が今の妻と恋人として付き合っていた頃の話です。

彼女の部屋に泊まりにいく頻度も多く、今は亡くなってしまった彼女の愛犬も、
構えとばかりに体をこすりつけてくる程度には仲良くなっていました。

寝室はシングルベッドでしたが、私が泊まりに来たとき用に布団が用意されており、
寝る準備をしていると犬がよく布団に座り込み、遊べとじゃれついてきました。
よくよく考えるとよりも彼女の飼っている犬と一緒に寝ている方が多かったかもしれません。

ともあれ夜中までお酒を飲みながらゲームしたりテレビ番組をみたりしながら、
二時三時となり眠くなった私は彼女より先に休むことを告げ、
布団に入ると犬も一緒に布団に入り、私の腕を枕に横になったのです。

まあいいかと寝ようとしますが、どうも何かに見られているような気がして寝付けません。
気のせいだと思って目を閉じますが、やはり視線のような物を感じます。
気になるのは寝室の角にある棚の上付近の壁です。
ポスターも貼ってあるわけでもないただの壁ですが、そこから視線を感じるのです。
気がつくと犬も私と同じ所をじっと見つめていて、怖くなった私は犬を抱きしめ、
布団の中に潜り込みました。

それからどれくらいたったのでしょうか?
彼女に起こされた時にはもう昼近くになっていました。

「ずいぶんぐっすり寝てたけど」

笑って言われましたが、部屋に住んでいる彼女に視線を感じて
寝付けなかったとも言えず、アルコールのせいにしてしまいました。

最近妻の愛犬の話になった時にもう七年前の事だし、
住んでいる場所も違うからとこの話をした時、妻はこういいました。

「あぁ、あそこには生首がいたからねえ。最初はこっちガン見してくるから
怖かったけど、ずっと動かないから気にしないことにしたんだよ。
でも別に怖くなかったでしょ?アンタには見えてなかったんだから」

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