父からの忠告

これは俺が友達と心霊スポット巡りにハマっているときに、父から
遊び半分で心霊スポットに行くとろくなことがない。やめろ」
と忠告されたときに聞いた、父達が体験した話です。

父がまだ十代の時。
父、父の弟、友人A、Bで岐阜県のある有名な自殺の名所である橋に、
肝試しに行ったそうです。
その橋に行くには、街灯もあまりないような峠を車で30分ほど登らなくてはいけません。
その峠を父の車で登っていると、途中に待避場と数少ない街灯があり
そこで男性が1人、車のボンネットを開けてなにかいじっていたそうです。

その待避場は目的地である橋から車で2、3分のところにあったので父達は
こんなとこで故障とかマジで可哀想だな(笑」
なんて言いながら通りすぎていったそうです。

そしてまもなく目的地に到着しました。
その場所には3つの噂があり、
1つ目は橋を渡っていると欄干から手が出てきて引っ張られるというものです。
2つ目は、ある家族が父親の借金が原因で、橋のすぐ横にある駐車場の壁に向かって車で追突し無理心中をしたというものです。
3つ目は、橋の手前にある電話ボックスに入るとなにか起きる、
というよくある噂でした。

父達はまず電話ボックスに入ろうということになり、
誰が入るかじゃんけんで決めたそうです。
結果はAが負け、
どーせなんもないだろー。結局ただの噂だろ」
と言いながら入っていったそうです。

すると、突然さっきまで普通に晴れていて、星が綺麗だったとは思えないほど
強い風が吹き始め、次第に雨が降り始め、どんどんどんどん強くなっていったそうです。
これはマズイという事で肝心の橋を渡らずに帰ろうと急いでいると、
父の弟がBの存在がないことに気がついたそうです。

みんなで周りを見ているとBは1人で橋を渡っていたのでみんなで
「おい!ヤバイって!帰るぞ!」
と呼び掛けてもまるで何も聞こえてないかのように歩き続けていたそうです。

急いで帰らなければと思っていたので、父の弟がBのところまで行き
肩を叩いて呼び止めるとBは
「うわ!俺なんでこんなところにいるんだよ!」
とまるで自分が今までなにをしていたのか、全く分かっていないような感じだったそうです。とりあえずみんなで車に乗り込み急いで来た道を帰り始めました。

そこでBに話を聞くと、Bいわく、Aが電話ボックスに入ってすぐに
橋の袂に40代くらいの男性が立っており手招きをしていたそうです。
そしてそこからは記憶が無く、気づいたら肩を叩かれて
橋の上に立っていたということらしいです

みんなその話を聞いて「やっぱあそこはヤバイんだな」と言いながら走っていると、
行きに車が停まっていた待避場近くまで来ていました。
そーいえばあの待避場にいた人も車は故障するわ、急に雨が降るわで散々だよな(笑」
などと話しながら待避場があった方を見てみると、そこには車と人はおろか
車を停めれるようなスペースも、街灯もなにもなかったそうです。

これは後日談なのですが、4人とも車、バイクなどで事故に遭ったそうです。
父、父の弟、Aは骨折や打撲など1週間ほどの入院で済んだそうですが、
Bは酷いバイク事故だったそうで下半身が不自由になり今も車椅子生活をしています。
父達の体験談はこれで終わりです。

最初この話を聞いたときは、どうせ俺達をビビらせるための嘘だろうと思ったのですが
父以外の3人に聞いても同じ話をされたのでさすがに信じました。
ちなみに俺達はすぐに心霊スポット巡りを止めました。
理由はこの話に”ビビったから”というのも少しありますが、
Bさんの「今すぐに止めろ。俺みたいになりたくないだろ?って言ってくれる人が俺の時にもいてくれたらな…」という言葉が決め手でした。

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