まだ私が高校一年のとき、体験した実話です。
友人M子から、今日うちに泊まりに来ないかと誘われた。
「急にかよ。なんかあったんか?」
と私がM子に聞いた。M子は、なんもないよ、と私に言った。
謎だらけだが、お泊まりするのは幼稚園の頃くらいだったし、
我が家は古い認識しかしない頑固な家だったし、
一か八か。両親に言ってみた。
「今日学校終わったら、M子の家に泊まりにいってもいいかなぁ?」
両親は、曇った顔で「M子ちゃんとこならいいよ」とあっさり言ってきたのをビックリしたが、支度をして、
団地の三階でM子は鍵を開けて。
「ただいま!」とM子がいうと、おばさんが部屋から出てきて挨拶をかわした。
「なにつったってるん?中に入りなよ!」
と……そうなんだけど、なかなか足が進めない。
耳なりがキィーーーンとなり。その場で座り込んだ。
「しりゅう!大丈夫!」M子が抱き抱えて部屋に入ってしまった。
ベットに横にされ、M子は飲み物を持ってきた。
心配そうなM子に悪いと思い。
「わっわたしは大丈夫だよ!耳なりがひどかっただけだから、ジュース飲んだら治るよ」
パキ!パチ
天井から変な音がしてきた。
M子は何かかくしてるな、と思っていた私だが音に関しては無視することにした。
その間も音は鳴りっぱなし。
そうこうしていると、寝る時間になってしまいました。
私は電気を真っ暗にしないと寝れないタイプなのだけど、M子は豆電球をつけていてほしいらしい。諦めてつけて寝ることにしました。
パキ。バタン。ギリギリ。
なんとも言えない音の嵐。M子は、すっかり爆睡。
「よく眠れるな」
と言ったとき夜中の2時くらいだった。
「なっ!なんで?」
その瞬間から、重苦しい空気にかわる。
真っ暗の中、私の右隣に白い煙のような人影が現れた。
「ひっ!だっだれや!」
白い煙が私の言葉に立ち止まり私の顔近くまできた。
「お前はだれじゃ……わらわのものぞ………くろうてやろうか……」
その話し声と共にその声の主の姿が現れた。
白い着物白無垢姿のいでたちで、
目は獣のように鋭く、白目が赤く血走り。
口はニヤリと私を今すぐ食べるかのような形相。
金縛りにあってないのが幸いしたのか?
思いきり女の顔を殴った!
感触はあったが、今度は女が反撃してきた。
「オマエヲ……クロウテヤル」
さっきまでの小さな口が耳まで裂け。
私は抵抗したが力尽き、もういいか、と諦めていた。
ふと天井を観るとお札が四隅に貼られていた。
あぁぁーーーそういう事か!
私は餌なんだと……………そう考えた瞬間。
電気がパッ!とついた。
そこにはM子の姿しかなかった。
M子は泣きながら私に謝った。私は話を聴くことにした。
「十年前にこの団地にひっこしてきたの。その時から変な音やあの女がでてくるようになったの……」
「…何であんな恐ろしいのがM子の家にでるようになったんや?」
朝日が登り始め、私は深く息を吸い込み。深くはいた。
「話したくなるのを待つよM子」
「先にいくよ!あとでこいよ!」
といってそれ以来、M子の姿を見ていない。
その日が最後になってしまいました。
あれはなんだったのか、なぜM子の部屋だけあんな四隅に古びれたお札があったのか、
あの白無垢の女はなぜ?
私にはさっぱり答えようにも答えがでなかった。
あの夜中電気をつけてくれたM子。
ふいに後ろを振り向くと明るく笑うM子の姿がみえるのではないか