私は物心がついた頃から、夢を見ることが多い子供でした。

友達と遊んでいる夢、両親に怒られている夢、
よくわからないメルヘンチックな夢など、さまざまな種類の夢を見てきました。

そんな中で、何度か不思議な夢を見たことがあります。
その夢の内容はというと、
私が夢の中で“自分で電話をかけようとすると絶対に繋がらない”というものです。

現在、私は成人しているのですが、
未だに夢の中で自分から電話をかけて繋がったことがありません。
この夢は、毎回同じ内容ではなく
自分で電話をかけようとすると絶対に繋がらない”
という部分だけが共通して起こるというものなのです。

たとえば、夢の中で私が友達を遊びに誘おうと電話をするのですが、
留守電になる”
“何度番号を確認しても押し間違える”
“なにか邪魔が入って電話ができない状態になる”といった、トラブルが必ず起こるのです。

電話もスマホやガラケー、固定電話や公衆電話など、
その夢の種類によって使う機械は異なっているのですが、
さきほど説明したトラブルが必ず起こってかけることができません
相手からかかってくる電話にはすべて出ることができるのに、
なぜか自分からは電話をかけられないのです。

また、この“自分で電話をかけようとすると絶対に繋がらない”という夢を見る時は
“自分が誰かに助けを求めて電話をかける夢”を見ているときに起こることが多いのです。
そのため、夢の中で電話による助けを求めることができず、
絶望的な状況に陥ったところで目を覚ますことが多いのです。

そうやって目覚めた私は、毎回冷や汗をかいて「また電話をかけることができなかった」と不思議な感覚に陥ります。
最初の頃は「なんか夢の中で電話がかけれない夢をよく見るなぁ」くらいにしか思っていませんでした。

しかし、当時高校生になってもその夢が続いていたことに少し怖くなって、
母親に相談をしたことがあります。
「なぁ昔から変な夢を見んねんけど」と私が事の顛末を母親に話すと、
母親は驚いた顔をして
お母さんもずっと昔から今まで夢の中で自分から電話をかけれたことがない」と話したのです。

私が母親に詳しく内容を聞いてみると、
自分で電話をかけようとすると絶対に繋がらない”
“留守電になる”
“何度番号を確認しても押し間違える”
なにか邪魔が入って電話ができない状態になる”
と、私と同じ不思議な夢を子供の頃からずっと見ているとのことでした

私には、母親のほかに父親と妹もいるのですが、
二人に話を聞いてみてもこの不思議な夢を見ているのは、私と母親だけでした。

母親は昔から霊感が少しあると言っていたので、
なんとなくそういう体験をするのはわかるのですが、
私は人生でそういった経験をしたことがなく、只々不思議な気持ちになるだけでした。

その時は、「母親が私と同じ不思議な夢を同じように見ていたなんて、
珍しいこともあるんだなぁ」くらいに思っただけでした。

それから、私が大学生になったある日、
未だに自分から電話をかけられない夢を見続けていたので、
母親にもう一度その夢について話をしてみたのです。

そうすると母親は
実は少し前にいつもと同じように夢の中で電話をかけようとする夢を見たんだけど、
その時は何か得体の知れない化物に追われて、
必死に公衆電話で警察に電話をかけたんだよ。
いつもなら何かトラブルが起きてかからないハズなのに、
その時の夢だけは電話をかけることができた」と話してくれたのです。

今まで同じような夢を見ていた私にとって、
その話はとても興味深く「じゃあ夢の中で警察に助けを求めることができたん?」と尋ねました。

私の質問を聞いた母親は
「いや。誰かが電話に出たのは確かなんだけど、ずっと無言のままでこっちから、助けて!と喋りかけても、何も返事が返ってこなかった」と話しました。
その話しを聞いた私は「じゃあ結局繋がっただけで、
誰とも話すことはできひんかってんな」と尋ねると、
母親は「いや、必死に助けを求めて喋り続けてたんやけど、
得体の知れない化物がもうすぐ近くまで来てヤバイ!と思った瞬間に一瞬だけ、
誰かと数秒話したような気がする」と返してきたのです。

しかし、その誰かと話した数秒話した瞬間に目が覚め、
誰と話していたのかいくら思い出そうとしても、
話した内容や声色、男性か女性か、知り合いなのかどうかも
一切覚えていないというのです。

母親は「初めて夢の中で電話をかけれた経験だったけど、
なぜか嬉しいというよりも思い出したくないような出来事だった気がする」
と少し暗い顔で私に話してくれました。

その話を聞いた私は
「いつか同じような夢を見ていた母親が夢の中で電話をかけることができたように、
私も誰かに自分から電話をかけることができる夢を見る日が来るのかなぁ」
と思いました。

もし、私が夢の中で自分から電話をかけることができたとき、
私は一体誰と喋ることになるのか、
現在成人した今も少し怖い気持ちと興味心でいっぱいです。

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