これは私の母にまつわる話です。
私の母はとにかく睡眠が深く、
目覚まし時計もほぼ意味がないみたいで、
さて、私が高校生だった頃、
蒸し暑い夏の日、夜中に喉が渇いた私は、
途中、母の部屋を通り掛った時、
襖が人一人分ほど開いていた母の部屋に、明かりが点いたのです。
ふと部屋を覗くと、母が寝巻き姿で立っていて、
ああ、母も蒸し暑くて起きたんだなと思い、
するとさっきまで点いていた明かりは消え、
なんだ、また寝ちゃったのかと思い、私は暗闇の中、
部屋に戻り電気を消そうとした時でした。
「パチッ」
と、小さな音が開けっ放しの扉のほうから聞こえ、
あ、また起きたんだ。
一度寝たら中々起きない母にしては珍しいな、などと思いながら、
するとまた、
「パチッ」
部屋の外に目をやると、母の部屋の明かりが消えていました。
また?
何してるんだろうと少し頭を捻ったものの、眠たかった私は
それを無視して目を瞑ったのですが、
「パチッ」
またもや明かりのスイッチ音が聴こえたのです。
しかも今度は直ぐに、
「パチッ」
と消す音が……。
目を開け扉の方を向くと、
「パチッ」
「パチッ」
「パチッ」
「パチッ」
「パチッ」
「パチッ」
「パチッ」
「パチッ」
何度も何度も母の部屋から漏れ出る明かりが点いたり消えたり、
流石におかしく思った私は、電気でも壊れたの?と、
部屋の前に着いた瞬間、
「パチッ」
明かりが点きました。
さっきと同じで、
そして直ぐに、
「パチッ」
明かりが消えます。
その時でした……
足元から何か、
それは、私の体にまとわりつくようにして、
数秒たち、それが激しい悪寒なのだという事に気がつきました。
寝起きとは思えないほど目を見開き、
ゴクリ、と鳴らした喉の音が、静まり返った部屋の中に響きます。
最初に部屋を覗いた時に気がつくべきでした。
今しがた、明かりが点いていた母の部屋の中央に敷かれた、
母は、起きてなどいなかった。
じゃあ、部屋の真ん中で立っていた人物は……誰?
あれは寝巻きだったか?そもそも顔は?
頭の中で、
次の瞬間、
「スゥースゥー」
母の寝息が聴こえてきました。
暗闇に慣れてきた私の目に、中央に立つ何者かの人影が、
瞬間、私はその場で反転し、
直後に、
「パチッ」
と音が鳴り、部屋の明かりが背後から射していましたが、
以上が、私の母にまつわる話です。
一応あの時母に確認はしたのですが、
ちなみに部屋の明かりは、
おそらく私が寝ぼけていたんでしょうね。
そうだろう、そうに違いないと思い、
あれから数年たったある日、
「パチッ」
「パチッ」
「パチッ」
「パチッ」
と鳴った時がありましたが、震える眼をギュッと閉じ、