これは、実際に私が小学生の頃に体験した話です。
当時H県K市E小学校に通っていた私は、
私は隠れる側となり、優柔不断な性格が災いしてか、
子供ながらに色々と試行錯誤しながら考えたのですが、
体育館裏といっても、場所は校門のすぐ隣で、
ずるいとは思いつつトイレの鍵を掛け、
──ドンドンッ!
と突然トイレを強く叩く音が響き、
音は上から聞こえました。上といっても、
丁度フェンス側の方です。
見つかった?
そう思い急いで鍵を開けて扉を開こうとしたのですが、
開きません。
ドアノブをいくら回しても、扉は開きませんでした。
すると、今度はさっきよりも少し小さな音でしたが、また、
──ドンドンッ
と、上から叩くような音が聞こえました。
まだ幼い時期だったのもあり、だんだんと怖くなってきた私は、
「もう分かったから開けてよ!開けないと先生に言うよ!?」
と、もはや半泣きになりながら扉を開こうとしました。
トイレがガタガタと音を立て、
それと同時に響く、友達を非難する私の恐怖交じりの喚き声、
が、それでも扉は頑なに開きません。すると天井付近から、
「あ゛っ、ぁぁっ……ぁ」
と、男の呻き声のようなものが聞こえたのです。
私の恐怖度はそこで頂点に達し、
しばらくして、
正直その時の様子を、私はよく覚えていません。
ただ、用務員のおじさんから聞いた話によれば、
ちなみに、その時トイレの鍵は掛かっておらず、
後にあれは友人の悪戯ではなく、トイレの扉が、
最後まで友人の悪戯を訴えていた私の話は、
それから数年がたったある日のことです。
中学生になった私は、両親と地元の夏祭りに出かけ、
ふと、酒に酔った父が、小学校の校門付近に目をやり、
「そういえば、知ってるか、あの松の木」
松の木?父に言われるまま、
すると父は徐に指を差して話を続けます。
「あの松の木だけ、枝が切り取られてるだろ?」
確かに、別に道路にはみ出すわけでもないのに、
「まだお前が幼稚園の頃、大学生の男が、
「う、嘘だぁ」
と私がすぐさま返事を返すと、横にいた母が、
「あら、本当よ、私とお父さん、
「ええっ嘘で……しょ……!?」
次の瞬間、私の顔は瞬時に蒼ざめ凍り付いていました。
父も母も異変に気がつき、
「ど、どうした?何かあったのか?」
父の問いかけに、私は全く反応できませんでした。
なぜなら、私の視線の先、枝を切られた松の木の真下には、
あの頃の記憶が、走馬灯のように頭の中に流れました。
天井付近から聞こえたドンドンッという叩くような音、
トイレの上に立ち、枝に縄をくくりつけ、
激しく揺れる両足が、仮設トイレを横から蹴り上げます。
じたばたしていた両足は、次第に弱まっていき、
それは、私の憶測、妄想でしかありません、妄想でしかないのに、