今は亡き祖母から聞いた実話です。
正月に祖母の家に帰省した時の事。
こたつに入り、祖母と一緒にみかんを食べていたら、ふと、
「そうそうお婆ちゃんね、昔あんたと同じ年の頃に、
「ん?」
突然何を言い出すんだ、と思いつつも、
「その姿見よ」
祖母はミカンの皮を剥く手を一旦休めると、おぼつかない指先で、
「あの鏡に?」
私がそう祖母に聞き返すと、
「そう、その姿見に向かってじゃんけんをしたの、
あれから数年して祖母は亡くなりましたが、今でも実家にある、
嬉しそうに想い出話しを語る祖母の顔と、あの時、
そうそう、この話を友人にしたところ、
「そのお婆ちゃん、本当にコオリノのお婆ちゃんだったのか?
って。
そんなわけないよ……ね?