大根の人

子どものころから実家のそばの道で変な人を見る。
ぼろぼろの和服を着て、頭の場所が萎びた大根という明らかに人間ではない人。

そのひとは何かをしている様子はなく、ただ道の真ん中に立っているだけ。
車なんかが通っても動かない。何事もないみたいに。
ただ、現れる時間が決まっているのか、昼間にしかいない。

子どもの頃はそういうものだと思っていたのでなんとも思わなかったけど
30過ぎたオッサンになって10年ぶりくらいに実家に行った時にも、相変わらず突っ立ってた。
いつの間にか知らない場所みたいにいろんなお店が出来てるところで、
そんな訳の分からないものでもなんだか懐かしく感じた。

あいつはなんなんだろう。

朗読: 小麦。の朗読ちゃんねる

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