黒い空気

「息子の世話になるから家を貸し出すことにしました」
と近所の老人が挨拶に来ました。

その家は障害者が平日宿泊するようになり、近所のおじいちゃんやおばあちゃんに
「あの人いじめる人だよね」
と大きな声でわめいたりしてるので、数か月は緊張が張り詰めたようになってました。

障害者があまりにも周りの家や道を、こそこそと監視するような行動をするので
車の免許取ったばかりの男性が威嚇するように障害者の家の周りをエンジンをふかしながら 回るようになりました。

私の家の前も通るので昼夜問わず車のエンジン音 。
そして障害者の監視のダブルで「ここは住みずらいな~」なんて思っていた時、男性の車を黒い空気が覆ってるのが見えたんです。

もともと黒い車がもっと黒くなって見えたので 見間違い?などと思いながらよく見たら、 車がボコボコになってフロントガラスが割れドアが内側に曲がり、黒い車体に擦った線があちこちに入ってます。

一度視線を外し、一呼吸おいてみたらそんなことはなく洗車したばかりなのか綺麗な黒い車でした。
迷いましたが本人に教えようとしたら家族に止められてしまいました。
人は「気をつけてね」など忠告すると、意外とバカにしながらも 回避することがあります。
なので忠告しても何も無いと 「何もなかったじゃないか」と怒り出すのはよくあること。
何もなければ怒られることくらいどうって事は無いが、その後私は精神的におかしい人になってしまう。
ならば最初から関わらなければいい。
今日も黒い空気を被った人とすれ違います。
ですが私は見守ります。

朗読: 怪談朗読と午前二時

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