某有名自殺の名所

今から10年以上前、全国的に有名な自殺の名所に友達と行った時の話。

「崖」といえば場所の特定ができてしまうほど、有名な自殺の名所(観光地)に21時くらいに、 友達と3人でドライブがてら向かう。
自殺の名所なので本来心霊スポットなのだが、 正直行き慣れてしまっていて、ただの夜の散歩と海岸沿いのドライブコースの一つでしかなかった。

断崖絶壁に日本海の海の音、暗闇を歩くと自殺志願者が人生最後にかけるために置かれた公衆電話がある。大切な人に電話をかけるための10 円玉に、自殺を抑止するようなメッセージが書かれている。

ただでさえ怖い夜の電話ボックスを、異様なまでにオカルトに昇華した、ほかではお目に かかれない代物だ。

心霊スポットとしての条件は充分に兼ね備えて いるのだが、なにせ若気の至りもあり通いつめた場所なので、仲間内の間では不気味さはあれど夜の公園となんらかわらない場所でしかなかった。
崖まで行き、電話ボックスを周り、売店と食堂がある休憩スペースの自販機コーナーで休憩をしていた。

小一時間ほど話した頃だろうか、時刻はまだ22 時を少し過ぎた頃。
巡回の警官3人に声をかけられた。
深夜徘徊による、よくある職務質問かと思ったが違った。

「お兄さんら、男の人見てへん?1人で歩いてる と思うんやけど」
「不審者ですか?」と訪ねると
「そーじゃないんやけど、彼女さんから電話あっての。お兄さんら体格もいいし3人いるし見かけたらちょっと捕まえてくれん?無理はしたらあかんけどの。頼むわ」
と言われ巡回に戻る警官。

不謹慎だがワクワクが止まらない。
こんな一大イベントはなかなかお目にかかれるものではない。

足どり軽く、推理を働かせながら散策を開始する 。
崖、電話ボックス、トイレの順に周ろうかということになり、まずは崖に向かうが人影はない。
続いて電話ボックスの方に向かう。
電話ボックスに向かう道は外灯も少なく暗く、足元を携帯の灯りで照らさないといけないレベルだった。

足元を照らす灯りを頼りに歩いていると 「ぎゃーー」という、高い声の男とも、 低い声の女ともとれる悲鳴が聞こえる。
反響してどこから聞こえたのかは分から ないが、遠くから聞こえたのは分かった 。
距離というよりは高低差のあるような、そんな響き方だった。
怖くなりすぐさまその場を離れたけど、本当にあるんだなぁ…こういう事って。

朗読: 怪談朗読と午前二時

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