真夜中のお堂

地元の金比羅山を抜け、山深いキャンプ場へ行く土地 に、金色に塗られ、耳なしホウイチのように全身にお教をかかれた、1メートルちかい地蔵?のようなものが祀られた小さなお堂がある。

夜中の2時ぴったりにそこを通ると、守護霊を見る事ができる。
そんな都市伝説があった。

20代前半の頃一度だけ試したことがあった。
夜中の1時50分頃から友人2人と車で待機。
エンジンを切り、待つ。
真っ暗で静まり返った車内。

かなりの山奥で、道も整備されておらず、熊、猪の被害 もでていて、おまけに管理している様子のない、おどろおどろしいお堂… 無言のまま、しばらく待ち携帯で時間を確認する。 1時59分を確認したところで目をつぶった。
目を開けていてもつぶっていても、かわらないほどに深 い闇だったので無意識にそうした。
光の全く当たらない空間を経験したことのある人ならわ かると思うが、物が見えない空間ではまぶたを下ろして いたほうが楽なのである。

そして時刻は午前2時 「うおっ!」 と友人の1人が声をあげる。
「見えた?」と尋ねると声をあげた友人は見え、
もう1人 の友人には何も見えなかったそうだ。

ちなみにだが私にも見えた。
見えたといってもあまりにも半信半疑なので見えた、と
断言していいのかどうかもわからない。

見えたという友人いわく「なんか落ち武者みたいなのが 見えた」とのこと。
ちなみに私が見た?ものは4メートルくらいの虎のような もの。
白いモヤのような発光体。それでいて輪郭や線の部 分はしっかりと分かる。

私の祖先のルーツをたどると、代々、東北のある県のお寺 を営んでいたらしい。
戦後、嫡男であり、唯一の男児である祖父が、祖母とかけおちをするまで続いていたそうだ。 だから強いものに守られてる? 私の守護霊は4メートルを越える虎です。
なんて厨二感満載なこと、とても人には話せない。
ちなみに、見えた2人の共通点は目をつぶっていたことだ った。

朗読: ゲーデルの不完全ラジオ

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