とあるマンション

引越しのアルバイトに行った時の話。

仕事が休みで、小遣い稼ぎに引越しのアルバイトにいった。
6階建でエントランスを抜け突き当りに、エレベーター。
その真向かいに階段のあるマンションだった。

エレベーターを使い、部屋から荷物を運び出す。
繰り返しエレベーターの登り降りをしていると、次第に不思議なことが起こりだす。
エレベーター前の階段のエントランスとの仕切りである扉が開閉を繰り返すのだ。

鉄製の扉で、カチッと閉まると、ドアノブを回し押し開けないかぎり開く事はない造り。
偶然という可能性は否めない。
しかし、3回も4回も続くとさすがに気味が悪い。

ガバッと開くのではなく、ソッと開き、
軽く閉まったと思ったらもう一度ソ〜ッと開く。
人が居るのかと見に行っても誰も居ない。

その日は、無風の快晴。
あたかも、人が開け締めしているかのような不思議な動きをする鉄の扉。
引越しが気になる【何者か】が作業を見つめていたのだろうか？