兄の白い女

ある夜、だいたい23時ごろだと思います。
二階の自室から 一階に下り、そのまますぐ目の前のキッチンへ。
当時あった冷蔵庫は扉が鏡のようになっていて、自分の全身、背後、下りてきた階段が映っていた。

いつもみたいになんとなくそこを見て立ち止まりました。
たった今、下りてきた階段の二段か三段上に人が立っています。

ありがちな話ですが、白い女で顔は見えず、こっちを向いているような気がしました。
そのまま静かにキッチンをでて奥にある母の部屋へ行きスマホを借りて兄に電話をしました。
あの女の人を見たときなぜか、すごく兄が気になったからです。
これはただの勘なので説明できません。

数回かけて、やっと電話にでた兄は息が切れていて 何か急いでいるような感じでした。
「待って、後でかけ直す!」 そう言ってすぐに切ろうとする兄をもう一度呼んで引き止めてから、何をしてるのか聞くと、
地元の心霊スポットで先輩と肝試しをしている最中白い女に追いかけられて逃げてきたところだと、説明してくれました。
きっとその女の人なんだろうと思い、 家にきてるよ と伝えたら めちゃくちゃ文句を言われ 兄は何日か帰って来ませんでした。

それからたまに、その白い女を見かけます。
兄が寝ている部屋の扉に頭をぶつけていたり 兄がお風呂の時は 脱衣所の外で立ちつくしたり。
それを見かけても、害があるかなどは私には分からないし また怖がらせてしまうので兄には黙っています。

それから7年くらい経ちますが兄は元気です。
去年、兄は婚約者と二人暮らしを始めました。
先日、母とその家に遊びに行ったんですが、あの白い女は廊下の隅の方に立っていました。

今もまだ、兄について回っているようです。

朗読: りっきぃの夜話
朗読: 朗読やちか
朗読: 怪談朗読と午前二時

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

閉じる