保育園に通っていた頃の話。
今から30年くらい前の話になるので、
正式名称は分からないが、すっとん便所、
要は掘られた穴の中に大便、
下水道が通った、
スマホを落としてしまったら水没を心配する程度の騒ぎではない。
揶揄するなら地獄の入り口。 それがすっとん便所なのである。
話は保育園時代にさかのぼる。
当時、5歳だったので年中さんということになるのだろうか。
お婆ちゃん子だった私は、ミニ機織り機で編み物をし、
同じ教室の女の子がトイレに向かう。
それからしばらくし女の子が教室に戻ってくる。
なぜか大泣きをしながら教室に入る女の子。
「どうしたの?○○ちゃん」 先生が駆け寄り話を聞く。
泣きじゃくり言葉にならない中、一生懸命、
教室は静まり返り、私も編み物の手を止め話を聞く。
「なんか…ヒック…おじさんがぁ…ヒッ…見ててぇ」
えっ?となんとか聞き取れた言葉に青ざめる先生。すぐさまトイレを確認しに向かう。
後を追いかけクラスの半数近くが続く。
「キャッ」 と悲鳴をあげる先生。
後ろを振り返らず、
のちに母から聞いた話によると、その後警察が来て、
浮浪者が夜中に入り込み、なぜかは分からないが、
というよりは落ちてしまい抜け出せなくなってしまったそうだ。
知っている世代の人なら分かると思うが、
あの穴の中に人がいて、自分と目が合ってしまうことを考えたら…
その事件から数カ月前だったと思うが、
実際に見た、