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怪談録 のっとり

目が覚めると、見覚えのある風景が広がっていたんだけど、なんか変だなと思った。
よく見たら俺が寝てるし、なんか身体が軽い。
ああ、これ幽体離脱ってやつだわ 昨日見た怖いビデオの影響か? なんにしても願ったり叶ったりだわ。
やることは1つしかない。
古典的ではあるが、近所の銭湯に向かった。
結果から言えば、こんな真夜中に銭湯がやってるはずがない。
でも、よくよく考えたらこれって夢なんじゃない? 幽体離脱?ないない!
それから俺はリアルな空中浮遊の夢を楽しんだ。
1つ不満なのは浮いてるけど、飛んでるわけじゃないんだよね。
精一杯飛ばしても、駆け足程度 夢によくある、走っても走っても前に進めないあれと同じ感じ? 雲の上まで飛ぼうにも、せいぜい家の屋根くらいまでしか上昇できないし…

つまらん、帰ろう 家に帰ると俺が寝ていた。
なんとなく、恥ずかしいようなくすぐったいような気持ちになった。
写真を見ているようでちょっと照れくさい。
おやすみっと小声で俺に挨拶し、なぜか自室の床で眠りにつく俺 ベッドで眠る俺と、床で眠る俺。
なんかシュールだなと思い、夢の中で、まさに夢見心地で眠りにつく。

朝、床で目を覚ます俺。
なんか頭も身体もふわふわしたまま朝食を食べに1階へ降りる。
リビングにつき我が目を疑う。
俺がご飯食べてるよ… まだ夢見てるの… なにこれ… 『俺』に声をかけるも、どうやら『俺』に俺の姿は見えていないようだった 「父さん!母さん!」 必死な声掛けも虚しく、誰も俺に気づかない おーいおーいと叫んでいて一瞬、ほんの一瞬『俺』と目が合った。
こいつー 「お前俺が見えてるだろ」 『俺』に詰め寄る俺 完全に無視をされ、それから3日が経った。
だんだん、いろんな気力が無くなってきた。
覇気がないとはよく言ったものだ。
霊体の俺は今、きっと死んだような目をしているんだろ
『俺』が部屋にいる時にもう一度話しかける
「なー、お前なんなの?なんで無視すんの?」 すると『俺』が始めて口を聞く
「ふらりふらりと漂っていたら空っぽの器があったら、のっとろうとか考えるでしょ、別にこっちも悪霊ってわけじゃない、割と善良なオバケやってたわけ」
「ふざけるな、返せよ身体」 その時は本当に腹が立ったよ はーっ、と『俺』がため息をつき答える
「せっかく実体を手に入れたのに、がっかりだわ、あんた来週死ぬわよ、2度も死ぬなんてごめんだからあんたに返すわ」
『俺』のなかの何かはそう言い残し俺は身体に戻った

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