あーちゃん

私が現在も体験している真っ最中の不思議な話を、誰かに聞いて欲しいと思いましたので、書かせて頂きました。

私には10代の頃から患っている持病があり、その影響で子供が出来にくく、お腹の中で育ち難い、所謂「不妊症」「不育症」でした。

不妊治療を行い、初めて妊娠出来た時に、お腹の子を赤ちゃんを文字って「あーちゃん」と呼んで産まれてくるのをとても楽しみにしていました。
ですが、妊娠6ヶ月の時に流産し残念な結果になり、処置が終わった後病院のベッドで眠っていると夢をみました。

白い小さな花が沢山咲いている広い野原で、
小さな女の子と手を繋いでいる私がいました。
その女の子は、私の子供の頃の容姿にそっくりで、不思議ととても愛おしい気持ちでいっぱいになりました。
暫く、夢の中でその幼少時の私によく似た女の子と花冠を作ったりして遊んでいたんですが、急に目の前が眩しいほど輝き始め、「え?何!?」と驚いていると女の子が繋いでいた手をスルリと離し、「もう行かなきゃ。また、会いに来るね」そう言って光の中に消えて行った所で目が覚めました。
私は、あぁ…あーちゃんが最後のお別れに来てくれたんだ…と思いました。

その後、2度妊娠しましたがどちらも流産。
その度にあーちゃんの夢をみました。

3度目の妊娠の半年後、4度目の妊娠は子宮外妊娠でした。
数日後に処置手術の予約をし、手術の日まで何かあったらいけないからと実家に帰る事になったその日、実家へ到着した直後に強烈な吐き気と腰の痛みに襲われ、気が付いた時には病院のベッドの上でした。
卵管破裂で救急搬送された様で、病院についた時には出血性ショックで心停止状態だったそうです。
そのまま緊急手術を受ける事になったんですが、その手術中にも私はあーちゃんの夢をみました。
白い花の咲く広い野原に、いつものようにあーちゃんと手を繋いで立っていて、ただ、いつもと違うのはあーちゃんが泣きじゃくってるんです。
「お願い、来ちゃ駄目、帰って、お願い」
そう言いながら私の手を振り解こうとするんです。
この手を離してしまったら、私は二度とこの子の母親にはなれない…
むしょうにそんな気がして手を離さずにいると
「だめ、だめなの!こっちに来ちゃだめなの!!」
そう、泣きながら叫ぶように言って手を振り払おうとするあーちゃんに
「手を離したら、もうあなたに逢えない気がするの」
私も泣きながらそう伝えると
「ママの子供にはもうなれないの」
「でもね、戻ってくれたら絶対ママと逢えるよ」
あーちゃんはそう言うと光輝いて、スッと消えました。

病院のベッドの上で目が覚めた時、私は静かに泣いていました。
その後、夫とは色々あり離婚してしまいましたが、縁あって別の男性と再婚する事になりました。
私の再婚が決まったのと同じ頃、弟夫婦に子供が産まれました。
お嫁さんの退院後、弟宅に赤ちゃんを見に行き、私はその子を見てハッとしました。 幼少期の私にそっくりな女の赤ちゃんでした。
「あーちゃん」

思わず口から出てしまった言葉に自分でびっくりしていると、弟から
「あれ?まだ名前教えてなかったよね?」
「母ちゃんに聞いてた? ”あかり”って名前にしたんだ」
「嫁がそう呼ばれたがってるって言って、お腹に向かってずっと”あーちゃん”って呼んでたんだ」
そう、言われました。
あぁ…そうか、あーちゃんはちゃんと私に逢いに来てくれたんだ…
そう思いました。

現在、2歳になったあーちゃんはお喋りも上手になり良く喋ります。
私が弟宅に遊びに行くと、あーちゃんは必ず私のお腹を撫でながら
「あーちゃんね、ここにいたの」
「ここからね、ママのとこにいったの」
そう言うのです。

弟夫婦はその度に不思議そうな表情をするのですが、亡くした子の生まれ変わりかもしれないなんて話しをしたら、あまり良い気はしないかもしれないと思い何も話してはいません。
あーちゃんは、弟夫婦の愛情を一心に受け、とても幸せそうに今日も笑っています。
私はあーちゃんの母親にはなれなかったけど、
これからも彼女の幸せを見守っていけたら良いなと思っています。

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