乗り移る幽霊

この話を聞いた人の元には霊が来るという怪談があるじゃないですか、 サッちゃんの歌のお話とか有名ですよね。
私多分、高校生のときにいま霊が乗り移った!という瞬間を体験をしたんですよ。 いやもしかしたら幽霊じゃなくてただの不審者だったのかもしれないんですけど…。

学校帰り、最寄り駅から家まで歩いていた時のことです。
狭い歩車道を歩いていたのですが、とても大きなトラックが前方から走って来て私の真横を通って行ったので、ぶつかるかと思ってドキドキしながら、何となくトラックの走って行った後ろの方を振り返ったんです。
するとそこに男の人が立っていたのです。

その人は体格が良く背が高く、登山者?と思うくらい大きなリュックを背負っており、こちらに背を向けて手を広げて立っていました。

当時その地域ではドラッグが流行っていて都内でも指折りの治安が悪い場所で、こんな風にいうと失礼ですが頭のおかしい人がよくいたので、私はその人をその類の不審者ではないかと思い、こちらに注目されないように足早に帰ることにしました。
でも歩きながらあれ?と思ったんですけど、 その人大きなトラックが通ったあと振り向いたらすぐ道路のど真ん中に立っていたんです。
通り過ぎたトラックの後ろに一瞬で立つなんて凄くないですか?
しかもそんなに大荷物を背負って…

家に帰って母親にこのことを話しました。
すると、この話をしてるとき急に悪寒がして、母もその一瞬真顔になって、私たちはしばらく黙ってしまいました。
今ゾワッとしたね、と笑って誤魔化したのですが、自分が何かすごく怖い話をしたようなそんな気がしてきたんです。

私が体験したお話はここまでなのですが、 その後うちの母が近所の友達にその話を共有したそうなんです。

するとその後、その近所の方が自宅の庭でリュックを背負った大きな男を見たというのです。
その庭は入ろうと思えば侵入できる場所ですし、同じ人物かもわからないですし、本当にただの不審者だったかもしれないのですが…。
もしかしたらあの悪寒がした瞬間、私から母に乗り移ったアイツが、母から近所の方に乗り移って現れたんじゃないかなと、そんな気がしてならないんです。

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