僕の父親はちょくちょく変な体験をします。
間隔は不定期で10年以上経ってることも、はたまた何ヶ月という短い間隔で起こることもあります。
今回は父が体験した不思議な体験を話します。
一度目の体験は父が高校生の時でした。
当時、高校3年だった父は卒業まであと数日だったということもあり、友人2人と校舎をバックに写真を撮ることにしました。
せっかくなのでおちゃらけたポーズをして撮ったそうです。
そして出来上がった写真を見て父含め三人は驚愕。
写真の中には三人の他にもう一人女子生徒がいたのです。
「こんなやついたっけ?」と質問する父に対し友人(以下A)は 「いや、放課後だっただろ? しかもここ駐車場だし」と返してきました。
それもそうかと納得する父でしたがもう一人の友人(以下B)が「ちょっと待て、こいつ……首無いぞ」と言いました。
もう一度写真を見ると確かに女子生徒の首から上はありませんでした。
ここでだいたいの人は恐怖するところですが、当時の三人はガチガチの不良。
その上、幽霊とかっていうのもあまり信じてない三人は「次に出てきたらボコボコにしてやる」と再度遭遇することを待っていましたが、卒業までそれは現れませんでした。
二度目の体験は父が高校を卒業してすぐの3月半ばの頃です。
バイク好きな父は、同じくバイク好きのツーリング仲間と県内で最高にヤバいと言われている心霊スポットの廃病院に行くことにしました。
高校の時から比べると多少は丸くなった父たちですが、まだオラオラ気質が残っていたので、この際だからめちゃくちゃにしてやろうと思っていたそうです。
現地に着いた父たちはその廃病院の佇まいに圧倒されたそうです。
その日は5人で来ていたそうなのですが、父含め3人は「やっぱり帰ろう」と言いましたが、残り二人のうちCが「バカヤロウ、ここまで来て逃げるとかねぇだろ。これからだろ、これから」と臨戦態勢。
父は「流石にヤバくないか? 」と止めようとしましたが、二人は聞く耳持たず、病院を囲っているフェンスを持ってきた工具でぶち破って入っていきました。
その様子を見ていた父と二人。
すると入り口まで行った二人が「ウワアアアア!!」と叫びながら戻ってきたのです。
「ほら見ろ、あれが強がりってヤツだ」と三人の中のDが笑いながら二人に近づき、「おいおい大丈夫かよ」と言おうとした時、二人が大声で言いました。
「なんで濡れてねぇんだよ!?」
何のことか分からず呆然とする三人の目の前にいたのは、ずぶ濡れになったCともう一人。
それを見たDは「それはこっちの台詞だよ。なんで濡れてんだ?」と返しました。
するとCの隣にいたEは
「さっき急に土砂降りになって……それで怖くなって逃げてきたんだ。戻ってきたらお前ら濡れてないし、なんなんだよ……」と半泣きで言ってきました。
5人は最初こそイキってたものの、一気に怖くなってその場からすぐに帰ったそうです。
三度目は父が就職して数年が経った頃。
客との商談のため車を走らせていた父はある道に差し掛かりました。
そこはその地域でもメインストリート……のはずなのですが、名前だけらしく周りは田んぼ。
何があると言えば、寂れた駄菓子屋やらシャッターの閉まったテナントばかり。
「これ本当にメインストリートなのかな?」と思いながら走っていると視界の端に女性がいることに気づいたのです。
「誰だ、あれ?」
不思議に思った父は少しスピードを落としてそちらを向きました。
結論を言うと誰もいなかったそうです。
気のせいと納得した父は再び車を走らせると、バックミラーにその女は写っていたそうです。
それでも父は冷静に「ああ、シャイな女性なんだな」と片付けたそうです。
四度目は父と一緒に買い物に出かけた時のことです。
買い物を無事に終え帰っていた時でした。
父が「ちょっと銀行寄っていいかな?」と言うので「はいよー」と返し付いていきました。
車で待っているように言われたので待っていると、数分で父が帰ってきました。
ですがその顔がちょっと暗かったので、 「どうした?」と聞くと「いやぁ……久しぶりに見ちゃったよ」と言いました。
父によると店内に入ろうと中を見たら一人女性が背を向けて立っていたそうです。
特に気になることでもないのですが、いざ入店するとその女性はいなかったそうです。
それどころか女性など一人もおらず、たまたま男性しかいなかったとも言っていました。
「いつまで続くんだろうな……」と父が落ち込むのをはっきりと覚えています。
最近は全くありませんが、次に起こるときはどういった形で現れるのか、ちょっと楽しみになっています。