いつものバス

中学2年の夏、何故か道徳の時間に怖い話をすることとなった。

僕はオカルトが大好きで色々な怖い話を持っていたので、みんなの前で怖い話をしたのだが、イマイチ怖くなかったのか反応が微妙だったのを今でも覚えている。

すると、当時の担任の先生が何かを思い出したらしくそれを話し始めた。

先生がまだ大学生の頃(だいたい25年くらい前)、アルバイトで塾の講師をしていたとき、Aちゃんが塾を無断欠席したらしい。
Aちゃんの親に電話をしたのだが、もう既に家を出ているとのこと。

先生は「何か事件や事故に巻き込まれたんじゃないか」と心配になったが、数時間後に見つかったらしい。
先生はホっとしたが、Aちゃんは真面目で無断欠席をするような子ではなかったため疑問に思ったそうだ。

翌週、Aちゃんはきちんと塾に来たので授業が終わった後、先生はAちゃんに「大丈夫かい?悪い人に絡まれたりしてないかい?」と聞いた。

すると、Aちゃんは顔色を悪くして「先生、こんなこと話しても信じてくれるか分からないけど聞いてくれる?」と言った。
「もちろん。話せることなら何でも聞くよ!」
すると、Aちゃんは重い口を開いた。

あの日、塾へ行くためにいつものバスに乗った。
でも、その日はいつもより10分くらいバスが早く来て不思議に思ったらしいが、とりあえず乗ることにした。
バスの中は結構乗客はいるのに、異常な程静かで誰一人として言葉を発していなかった。なんか怖かったので降りようと思ったが、バスが動きだしたのでそのまま乗ることにした。

いつもなら、10分くらいで着くのに20分、30分くらい経っても着く様子が無く不安に思っていると、小学校低学年くらいの女の子が話しかけてきた。
「ねえ、お姉ちゃん!どこへ行くの?」
「え?今から塾へ行くんだよ」と私。

すると女の子は、「そんなとこより、青山に行こうよ!」と言ってきた。
「青山って東京の?」
「うん!そうだよ。ねえ、一緒に行こうよ!」
「え?だってここは北海道だよ。東京まではバスでは行けないよ」
だが、ふと窓の方を見ると見慣れない風景が広がっており、動揺している私に女の子は「ねえ、一緒に行こうよ!」と言いながら私の腕を掴んできた。

その掴んできた手が異常に冷たかったので、女の子の手を振りほどいた。
すると、女の子が不気味に笑い出し
「お姉ちゃん、もう逃げられないよ」
と言うと、バスの中の乗客全員が私と女の子を囲みだした。

それから程なくしてバスが停車した。
すると乗客たちはバスを降り始め、墓のようなところにどんどん吸い込まれていく。私もちょっとずつ意識が遠のいていき、乗客についていき吸い込まれそうになったそのとき、どこからか
「そこにいってはいけない!戻るんだ!」
という声が聞こえ私は我に返った。

私は乗客の目を盗み逃げ出した。
すると、乗客はすぐに気がつき私を追いかけてきた。
私は無我夢中で逃げたが足をつまずいて転んでしまった。
でも、その拍子に茂みに隠れることができ、そのまま意識を失った。

気が付くといつも見慣れている道を泣きながら歩いており、
通りかかった警察官に保護された。
先生はこれを話した後、シーンとしたクラスを明るくしようと必死だったが、話がリアルすぎてみんな固まったままだった。

その後、完成度がイマイチだった僕が
変なあだ名をつけられたのは言うまでもない。

朗読: 怪談朗読と午前二時

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