これは、私が務める会社のおじいちゃん先輩が体験したお話です。
上手くまとめられなかったかもしれないので、読みづらかったらすみません。
その人はピーナッツアレルギーを持っていて、表記があるものやピーナッツは絶対に食べないように気をつけているのですが、屋台等で売っている調理品には表記が無い事が多く、知らない間に口にしてしまう事もあります。
アレルギーの中でも特に危険なピーナッツアレルギー。
当然食べてしまえば死ぬ確率がぐんっと上がります。
その人はあまり慎重な人ではないので、うっかり食べてしまって
3度、臨死体験をしたそうです。
一度目の臨死体験。
違和感を感じながらも食べてしまったピーナッツ入りの食べ物。
症状が出て、体中が痛くなるような苦しくなるような…
そんな感覚に襲われうずくまり、倒れ、意識が朦朧とし始めました。
しかしフッ…と、あんなに苦しかった筈なのに、急に物凄く心地の良い感覚に包まれたのです。
あまりにも心地よく夢見心地な気分でいると、いつの間にか見たこともない場所に来ていました。
綺麗な花が咲き、小川のせせらぎが聞こえるその場所は、現実では味わえない心地よさがありました。 当然足はそちらの方に向かいます。
もっとこの心地の良い感覚を味わいたいと…。
そんな時、どこからか女の人の声が聞こえてきました。
その女の人は何度も自分の名前を呼んでいます。
声のする方へ目を向けてみると、綺麗なお花畑が続く方と反対側に、それは険しい岩山が…。
どこに続くのかわからないし、どう見ても登るのは一苦労だと思える岩山。
普段なら絶対に登ろうとは思わないのですが、どうにも女の人の声が気になってしまいました。
因みにその人は自分でも豪語する大の女性好き。
小川の向こう側は心地の良い世界が待っているだろうとわかっているのに、足は険しい岩山の方へ向かっていました。
こんなに登るのが大変なのに、とにかくその女の人の声が気になります。
息を切らし、なんでこんなに苦しい思いをしているんだろうと思いながらも岩山を登り続けていたら、パッと目を覚ましたのです。
そこは病院のベッドでした。
その後どういう状況だったのか聞いてみると、救急車に運ばれ処置を施され、なんとか命は助かったそうです。
あの女の人の声が誰のものかはわかりませんが、自分が女好きでよかったと笑いながら話してくれました。
そしてこの臨死体験、2回目の臨死体験も全く同じように心地よい小川と花畑に行き、岩山から女の人の声が聞こえて登って帰ってきたそうです。
そして3回目の臨死体験はいつもと違いました。
また苦痛が全身を襲い、これ以上はもう無いというところでやはり同様の心地よさに包まれました。
ですが花畑には行かず、スゥッと空へと昇っていきました。
その先にはまばゆい光が待ち構えていたのですが、パッとその光は消え足元を見ると病院のベッドに横たわる自分の姿が。
「あ、これはついに俺も死んだか…」
そう思った矢先、医者が自分を呼ぶ声にハッと目を覚まし、戻ってくることができました。 もしかしたらあのまばゆい光があちら側への入り口だったのか…
今ではわかりません。
ただ輪廻転生やあの世というものを全く信じていなかった先輩が
「さすがにこれだけ臨死体験したら、俺もあの世ってあるんだなぁって信じちゃうよね」
と笑いながら話してくれました。
小川のせせらぎは三途の川で、生きるか死ぬかの瀬戸際ってこういう選択をつきつけられたりするのかもしれません。
あと人って死ぬ瞬間…苦痛から開放されて心地よさに包まれながらあの世に行くのかな? それは最後の優しさなんだろうか?
なんて思いながらこの話を聞いていました。