イザナウモノ

私が高校3年生だった時の話。実話です。

高校時代、私はほぼ毎日下校時間ギリギリまで学校に残っていた。

その日もそうで、教室でだらだらど課題をやったり携帯をいじったりして時間を潰していた。

なんの気なしに廊下に出て窓の外を見る。

外が騒がしい。

よく見てみると救急車が来ているようだった。

友人と下まで降りて、近くに居た別の友人に何があったのか聞いてみた。

友人曰く、陸上部の女子生徒が、グラウンドで部活中におかしくなったのだと言う。

私の在学していた高校のグラウンドは山に囲まれていて、小高い丘の頂上を潰して作ったような代物だ。

長く急な階段を登らなければならないので、ほとんどの生徒はグラウンドを使う機会が体力測定の時と、クラスマッチの時くらいしかなかった。

グラウンドを頻繁に使うのは陸上部くらいだろう。

その陸上部がアップか何かでトラックを走っていた時、1人の女子生徒が急に立ち止まり山の方を向くと「行かなきゃ…私、行かなきゃ…」と呟き、山の方に歩き始めたのだという。

ふざけているのだと思った部員が笑って止めるが、歩くのをやめない。

様子がおかしいと思った男子生徒が5、6人で止めにかかったらしいが、後輩の女子とは思えない力で、歩くのをやめなかったそうだ。

流石におかしいと思い顧問を呼んで、救急車を呼んでもらったということだった。

女子生徒が行こうとしてた山は、50mも進めば出られるような山で、ワンダーフォーゲル部が練習で使う割と人の出入りが多い所だ。

私も入ったことがあるが、長年部で使っているだけに踏み固められてできた道もある。

山の向こう側には民家が何十軒と立ち並んでいて、国道に繋がる車通りの多い道もある。

何か曰くがある山ではないと思うのだが、結局詳しいことは何も分からず終いだった。

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