赤い指輪

中学生の頃の話です。

その日は、朝から雨が降っていて薄暗く、雨が嫌いな私は少し気分も沈んでいました。

放課後、いつものように部活を終えて片付けや掃除をしていると、机の下から赤い指輪が出てきました。

もちろんアクセサリーは学校に持ち込むのは禁止ですし、赤い指輪を着けている人も見たことありません。

赤い指輪と書きましたが、その指輪は赤い石が付いているのではなく、指輪自体が赤い石で作られているという少し変わった物でした。

私は少し気味が悪くなり、その指輪を机の上に置いて、その日は帰りました。

その日の夜、怖い夢を見たのを今でも覚えています。

暗いどこかの道をひたすら歩いていると、髪の長い女の人が足下にうずくまって何かを探しているのです。

「どうしたんですか?」と思わず声をかけると、女の人は静かな声で「……赤い指輪を探しているの…」と答えました。

その瞬間私の手を掴むと、男性のような低い声で…

「私の指輪返してぇええ!!」

そこで私は目を覚ましました。

次の日、私は部室の机の上にあった指輪を持ち帰り、近くのお寺で供養をしてもらいました。

それ以来、特におかしなことは起きていません。

朗読: 繭狐の怖い話部屋

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