田舎の祭り

確かこれは15年ほど前の話だったと思います。
自分のおばあちゃん家がある千葉県旧〇〇町のお祭りに行った時のお話です。

当時自分は小学校低学年くらいだったと思います。
車でおばあちゃん家に行き、そこから歩いてお祭りに行きました。
お祭りとはいうものの、田舎でよくあるような公民館の敷地で行う屋台が一つ二つの小さいお祭りでした。

正午過ぎだったと思います。
家族でお祭りに向かい公民館に着くと、
既に子供が数人お祭りの衣装に着替えていました。
自分と三つ上の姉も公民館の中に入れられ、わけもわからず衣装を着せられました。しかも、ただ着せられるのではなく、1人ずつ化粧みたいのをやられたのを覚えています。

着替えて出ると公民館の中心にやぐらが組まれており、
お寺の住職さんが待っていました。

子供たちが全員着替え終わると、やぐらの周りを住職さんがお経を唱えながらグルグル回ったのを覚えてます。

子供達は自分達を抜いて十数名だったと思います。

お経が終わると、公民館から住職さんのお寺があるところまで練り歩くことになりました。
その時、確か左手に数珠、右手に火のついた提灯を持っていました。

練り歩く際には大人達はついてこず、子供たちと住職さんだけで歩くことになりました。 お寺までの距離は2キロぐらいだったと思います。

ここからは記憶がかなり曖昧なんですが、 15分ほど歩いていると意識が朦朧としていて、気がついた時には一緒に歩いていた姉はいなく、深い霧に覆われていたと思います。

霧の中、前の奥の方に1人その後ろに2人子供がいたと思います。
住職さんの姿は見えなかったのですが、お経と数珠を擦りつけてる音は聞こえたので前にいるのだろうと思いました。

その時、提灯の明かりは消えていました。
自分は前の子供達に追いつこうと走ろと思ったのですが、走れなかったのを覚えています。 そうしているうちに前にいる子供たちが見えなくなり、お経も聞こえなくなり、1人歩いていたのですが急に怖くなり、その場で泣き噦っていました。

しばらくして、たぶんおじさんみたいな人が声をかけて来たと思います。
おじさんは顔がモザイクというか、ボヤけていてわからなかった気がします。
そのおじさんが自分に、
「坊主、大丈夫か、道に迷っているのか?」
と、声をかけてきました。

なぜかその時怖さとかは無く、家族みたいな暖かみを感じ、出口を知るというおじさんについて行きました。

しかし、しばらく歩いていると遠くからお経の声が聞こえてきました 。
するとおじさんは
「早いな〜。けど、坊主のおかげでだいぶ生き返ったわ」
と言い霧の中にスッと消えていったと思います。

そしてすぐに住職さんと会うことができ、
「〇〇君やっと見つけた。 大丈夫かい? 誰とも会わなかったかい?」
などと聞かれたと思いますが、自分は住職さんに会うと安堵感なのか泣き噦りただ頷くだけでした。

気がつくと私は母の膝の上で寝ており、祭りは終わり、
その後夕食会みたいでした。
私が出来事を話すと母は、
「何言ってんの?あんた神社に着いたら疲れて今まで寝てたんだよ」
と言われました。

これは夢だったのでしょうか?
ですが、住職とおじさん連中がお酒を飲みながら話し、
「今回はダメやった。誰もたどり着かんかったなー」
と話していたような気がします。

これは夢だったのでしょうか?
もし、おじさんについて行ったら。
もし、辿り着いていたら。

朗読: りっきぃの夜話

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