夏休みの真夜中で

あれは、僕が中学生だった頃。
今から15年程前の話です。

寝苦しい夏の真夜中の事でした。
目が覚めた僕は身体を動かそうとしたのですが何やら動かないのです。
15分ほど必死に身体を動かそうと、じたばたすると漸く身体が動きました。
気持ちを落ち着かせようと部屋から見えるベランダを眺めていたところ、 何か落ちてきたのです。

僕は不思議に思いしっかりと凝視したところまた落ちてきました。
今度はしっかりと見ました。

ニヤリと笑う血だらけ逆さまの女。

その顔は気持ち悪いほどニタニタと僕を笑い、ベランダに落ちたのです。
僕はそれを見たのが気持ち悪くなり寝ようとしたのですが、その女が今度は僕の上で眺めているような気がして寝れないのです。

朝5時ぐらいでしょうか。
家の祖母が目を覚まし家事をしているのをホッとしたのですが、その時思ったのです『落ちてくるわけない』と。
元々田舎の一軒家ですので飛び降りるには家を登らないといけません。

そしたら普通気がつくと思うのです。

夏休みなので出校日に近くに住んでいるクラスメートに聞いたところ、そのクラスメートは、ポツリと呟きました。

「あぁ隣のマンションで飛び降り自殺昔あったらしいよ」と。

その霊が自分の部屋に来たのかと思うと怖くて、今もそのベランダを真夜中に見るのを躊躇してしまいます。

朗読: 繭狐の怖い話部屋

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