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水の中

私が小学5年生の時のお話。

その時はむせ返るように暑い熱帯夜で、私は自分のベッドで寝ていました。
そんな熱帯夜だからでしょうか、おかしな夢を見たのです。

その夢というのは私が自分の小学校の1番上の3階の音楽室の目の前に突っ立っているのです。
私の小学校は3階に右から順に理科室、家庭科室、図工室、音楽室があり、
突き当たりの音楽室の所には下の階への階段、もう一方の突き当たりの理科室の所に下の階への階段と上の屋上への階段があります。
私は、そんな3階の音楽室の前に1番奥の理科室の方を向いて突っ立っているのです。
そして、驚くべきことに小学校は私のいる3階まで大量の水で満たされていたのです。
もちろん、私も水中にいましたが、夢だからでしょうか。
呼吸はできることはできるのです。
しかし、息を吸うと周りの水も一緒に飲み込んでしまい、
かえって苦しくなってしました。
ですから私は、あまり呼吸をしないように1度呼吸したら止めて、
また1番呼吸したら止めてを繰り返していました。

そして、私は (屋上だったら、水が来ていないかもしれない・・・) と思い、
屋上へ行こうと理科室の屋上へと続く階段を目指して早歩きで移動していました。
水は山の雪解け水も顔負けなくらい綺麗で澄んでいて、
自分の口やら鼻やらから出てきた泡がキラキラと輝いていたのを覚えています。
廊下から見える景色も全て水中で私は (なんでこんな風になったんだろう・・・) なんて思っていました。

しかし、やはり小学五年生ですから肺活量にも当然限界は来ます。
私は呼吸をしようかと思いましたが、理科室の階段が目の前でついつい私は
(もう、このまま屋上まで行ってやる!) と呼吸せずに一気に行こうと走り出しました。
が、いつも学校では屋上に行く機会なんてありません。
それどころかいつもいつも下の階への階段を使ってばかり。
そして、息が苦しく、早く新鮮な酸素を肺に入れたいと焦りに溢れたこの状況。
そんな条件が重なり、私はついいつもの習慣で下の階への階段を使おうと勢い良く手すりを掴みました。
「 Tちゃん、そっちじゃないよ」 (Tちゃんというのは私の事)
手すりを掴んだのと同時に聞こえてきた女の子の声。
その子の声には聞き覚えがあり、私は思わず
「あぁ、ごめんね。Aちゃん」
と返事をして屋上への階段へ足を踏み出しました。
そうして、新鮮な酸素を肺一杯に吸い込んだ瞬間 私は自分のベッドで目を覚ましました。

その日の昼、その夢のことを考えていると1つ疑問が頭に浮かびました。
なぜ、Aちゃんが私を助けてくれたんだろう?
というのも、Aちゃんというのは私の保育園時代の親友でした。
しかし、私は学年が上がるにつれてAちゃんとは疎遠になっていきました。
そして、5年生にもなると全く話さず、私は別の子ととても仲良くしていました。
なぜ、他の子ではなくAちゃんなのだろう?
そんな疑問が頭をぐるぐると廻っていると、ある記憶が頭に引っかかりました。

それはAちゃんと私がまだ親友だった時、
そして保育園を卒業する時の記憶でした。
Aちゃんは私に 「私、Tちゃんが困ってたり、
苦しかったりしてた時、絶対助けるからね!」 と指切りまでして約束してくれたのです。
その記憶を思い出して、私は今でも
「あれは、Aちゃんが約束を守ってくれたんだ」 と思っています。

ただいま私は高校1年生、あれから5年経ちました。
Aちゃんは私とは違う遠い高校に通っています。

もう1回、Aちゃんと遊びたいなぁ・・・なんて思わったり、思わなかったり。

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