これは、私が中学一年の頃の話です。
入学して間もない頃、私はどこに何があるのかも分からず困っていました。
そこへ…
「良かったら、案内しましょうか?」
上級生でしょうか、自分よりも年上の男子生徒が声をかけてきてくれました。
私は助かったと思い、その先輩に案内をしてもらったそうです。
そのおかげで他の同級生やクラスメート達に比べて学校内のことも少し詳しくなりました。
次の日、あの優しい先輩にお礼を言いたくて探したのですが、彼の姿はどこにもありませんでした。
今日はお休みなのかなと思い、彼の言っていた学年の担任の先生に話をしてみると
「彼は、随分前にこの学校を卒業していますよ」
私は思わずえっ?と言いながら、先生の話を聞いていました。
そこで私は、その先輩の特徴を話しました。
髪が少し長くて、生まれつきなのか髪の色が茶色だったことや眼鏡をかけていたことなどを…
すると穏やかそうな先生の顔がみるみる青くなっていきました。
「紅さん…本当に昨日、その子に会ったの…?」
震える声でそう尋ねられました。
私がゆっくりと頷くと、先生は小声で…
「実は、この〇〇(彼の苗字)くんはね…数ヶ月前にこの学校の前で交通事故に遭って亡くなったの……」
と話してくれたそうです。
私が出会ったのは、本当にその先輩だったのでしょうか……