ゲームノート

 高校生の頃、当時学校にあまり馴染めなかった俺は、ネットの世界に逃げていた。

 学校でのストレス、家庭でのトラブル、自分と他の兄弟との比較、本当に最悪な時期だった。
 そんなこともあり、俺はネットの掲示板で結構過激な発言を繰り返していた。今思うと、本当に後悔している。
 周りを不快にする発言や差別的な発言等々……。そんな書き込みをしていたことが高校3年間での思い出だった気がする。

 そんな生活に終止符が打たれたのは高校卒業間近の大学に合格した頃、俺はとんでもなく調子に乗っていた。
 高校3年間の陰キャ生活の卒業、新たな出会い、これからの将来、色んなことが頭に浮かび、満ち足りていたというか、これからの未来への期待で胸がいっぱいだった。
 そんなこととは裏腹に俺は高校の頃と変わらず、掲示板で書き込みをしていた。
 しかも大学に合格したことでプライドが高くなったのか、発言がエスカレートしていた。
 そしたら、悪いことをしたら自分に返ってくるというのは本当で、俺は特定されてしまった。
 最初は本名とかだったけど、住所とか色んな個人情報が特定されていき、怖くなった俺は弁護士を雇うことにした。でも、一向に炎上が収まらず今でも続いている。
 住所が特定されてしまったこともあって、実家へのいたずらが酷く炎上してからあまり行ってない。

 それから数年の月日が経ち、地元の会社に就職した俺は久しぶりに実家を訪れた。
 父と母は先日家に爆竹が投げ込まれたこともあって憔悴していたが、俺が久しぶりに帰ってきたことに嬉しそうだった。
 そのあと部屋で卒業アルバムを見た後、それを段ボールにしまおうとしたそのとき、ひとつのノートが目に入った。

 そのノートは「ゲームノート」というもので、小学生の頃、ド○クエにはまっていた俺が復活の呪文とかをメモしていた。
 呪文といってもヘンテコな文章ばかりで、見ながらちょっと笑ってしまった。
 その後もひとつひとつの文章に目を通していくと、ある文章に俺は寒気がした。

「えむじよう せいかつまつた なしきおつ けろよ」

 明らかに自分の今を予言しているようだった。が、気のせいだと思いまた文章を読んでいった。
 すると「じつかとく ていばくちくひ びくしむや だんご」
 その後も、弁護士の名前とか、俺が掲示板で活動していた時のニックネームとかが書かれた文章がいくつかあった。

 こんなことってあるんだろうか。

朗読: モリジの怪奇怪談ラジオ

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