愛から生まれた狂気

この話はもう…忘れたくても忘れられない出来事で、
私が生きてきて、最も最悪の事件で、
思い出しただけでも鳥肌が立ってしまいます。

3年前の話になります。
私は仕事が夜勤のせいで、いつもは朝から出勤前まで
寝ていることが日課でした。
でも、その日は仕事が休みで金曜日の事もあって、 洗濯や掃除をする事にした。
私が住んでいる部屋はそんなに広くないので、 掃除するのは簡単だった。
その頃引っ越しも考えていたので、 ついでに押し入れの中のいらない物を片付けようかなと思い、押し入れを開けると…
上の段には靴や、色んな物が入っているだろうボックス。
下には、服の入ったボックスや未開封の段ボールがある。
でも…そこで違和感を感じた。
異様に物が手前に出ていた。
そして…なんか匂う、汗の匂いみたいな。
私はボックスや段ボールをどかしてみる… すると、私の下着が散乱していた。
”…えぇ??” 意味が解らない。
下着がなんか減ってるなぁって思ったら… こんな所にあるの?
手を伸ばして… 自分の下着は湿っていて、なんだかヌルヌルしてる…
もしかして… スマホの懐中電灯でその押し入れの奥を照らすと…
私は悲鳴にもならない声で… ひゃああ…っと… 押し入れの奥には、
”私ちゃん愛してる”
”私ちゃんと’一緒にいるよ”
”俺にきづいて”
とか… マジックで汚く書いてあった…そして…なにかが飛び散ったような跡も…

私はその場で吐いた。
その後、仲のいい後輩くんに来てもらい 私は泣いてしまった。
そして、警察に電話した。
その後の事は何が何だか、分からないままで…
警察が部屋の中で何か捜索中みたいなことをしていて。
私は後輩くんに支えられたまま、放心状態だった。
警察が来てると連絡を受けた、大家さんも駆けつけてきた。
色々と聞かれたけど、なんて答えたか分からない。
押し入れに小さな穴が開いていたと、警察の人が言っていた。
それはまさに、 

”誰かが部屋を出入りして、押し入れに居て…その穴から覗いていた”

私は泣いた。誰かに見られていた。知らない誰かに。
いつから?? どうやって入ったの? もう…嫌だ。
色々考えるが、心当たりがない。
これはストーカーか? 部屋の中には異常でしょう??
不意に隣に住む顔見知りの女性が心配そうにして、 大丈夫?といって背中をさすってくれた。
なにか言いたそうにしていた。
”こんな時に聞くのも変だけど…私ちゃんにお兄さんとかいる?”
”えっ?…いませんけど…”
”そうなの?…あのね…”
そのお隣さんの話の内容は…

ここ1週間前からお隣さんが仕事から帰ってくると、
ちょうど 私の部屋から男の人が出てきてびっくりしたそうだ。
最初は私の彼氏か、それかお兄さんだと思ったらしい。
それは毎日で、怪しく思ったのが 私が出勤した後に出てくるか、入っていく。
でも一回も私と一緒にいるところを見たことがない。
私は必死にどんな人か聞いた。
”夜でしかその人みないけど、眼鏡をかけていて、背が高かったよ。あと首あたりに大きい目立つほくろみたいのがあった。”
…それを聞いてそのまま気絶した。
目を覚ました時はお隣さんの部屋のベットで横になっていました。
玄関先で後輩くんが警察の人と話している。
お隣さんは、その横で一生懸命に話を聞いてる。
その間に私は犯人が誰だかわかってしまった。

後日、後輩君と友達のおかげで犯人は捕まりました。
犯人は一か月前に友達の知り合いに誘われて行った、
飲み会で知り合ったOさんだった。
私の向かい正面に座っていたおOさんと色々世間話しぐらいと、
喋ってても普通に楽しかったので連絡を交換しました。
Oさんは29歳の会社員で、大人しくてでも顔はとても整っていました。
特徴的な首元の大きなほくろが印象的でした。
好青年って感じで、その飲み会の後もOさんとはたまにメールと電話して話をするだけででした。
食事にも誘ってくれましたが、仕事が忙しかったので丁重に断っていました。
警察の人によるとOさんはその日に私に一目ぼれした。
そんなべたな事を言って、 食事に誘っているのに、断られるとか。なかなか会えないとか。連絡出来ないとか。 全然振り向いてくれないとか。
私の事好きすぎて、仕事も手が付けられなくなって。
Oさんがとった行動とは… 私の住んでいる所を探して…仕事行ってる間に何らかの巧妙な手口を使って、部屋を開けた。

そこからは、もう…気持ち悪くて、怖くて。
どうやって私が住んでいる所を特定できたとか、 もうそんなのはどうでもよかったんです。
ただ、私が家に居る間にもいた… あの押し入れの小さい穴から…私を。
それからは警察の方に任せて、弁護士を通しました。
私は引っ越しして、押し入れがない部屋をえらびました。

友達の家とかで押し入れを見るたびに…体が反応して、震えてしまう。
もう…押し入れなんて開けれません。
愛って…人を好きになるって、こんなにも人を変えてしまうんですね。
ある意味本当に怖いです。

朗読: 朗読やちか

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