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弟が帰ってきた理由

初投稿です。
私自身は全く霊感がなく、実話的なものはこれしか無いので、
もしかしたら投稿はこの話、一話になるかもしれません。

私には5つ年下の弟がいます。
私とは正反対の性格で、弟はいわゆるヤンチャで、
過去にいろいろ問題を起こしてきました。
まぁ、ヤンチャとは言っても、人様と問題を起こすというのではなく、
中学生の頃は隠れて煙草を吸って先生に見つかったり、
こっそり親の財布からお金を抜き取ったり程度のものでした。

うちの親は少々変わり者で、とくに父親は弟に
「お前は野球さえやっていればいい。勉強なんかしなくていい」
と言って育ててしまったので、
絵にかいたような野球バカになってしまいました。
弟はとにかく怖がりで、私が記憶している限りでは、
電球は必ず豆電球を点けたままでないと眠れないほどでした。

その弟が、高校生になって遅い反抗期を迎えました。
今までは親の言う通りに少年野球、中学時代も野球部に所属していましたが、
高校に入学してからは、どうやら先輩に目を付けられてしまったらしく、
部活内で人間関係が上手くいかなくなり、野球部をやめてしまいました。
父は怖い人でしたから、それはもう激怒して弟を追い詰めた結果、
弟は一か月くらい家出してしまい、とうとう高校も辞めてしまいました。

高校を中退した弟は、隣の県のK市で板前として働くことになったのです。
同じ中学を卒業し、同じく高校を中退したF君と
アパートで一緒に暮らすということで親も安心していたようでした。
ところが数か月後、弟が泥酔して泣きながら電話をかけてきて、
家に帰りたい、もう無理だと言ってきたのです。
私は「フン、もうケツを割ったのか、根性なしが」と
正直、弟を馬鹿にしていました。

しばらくして、弟が実家に帰ってきました。
私は遠慮を知らないので、弟に対してその言葉を直接投げかけました。
「まだ一年も経ってないのに、根性ないな、お前は」と。
「違うんよ、姉ちゃん。俺、見たんよ」

弟が話した内容はこうでした。
F君と一緒に暮らしたアパートは格安で、
弟とF君はそのアパートの二階に住んでいました。
ところが、弟とF君が暮らす部屋のちょうど真下の住人が、
一か月とせず出て行ってなかなか定着しないのを不思議に思っていたのです。
まあボロいアパートなので、仕方ないのかな程度にしか思っていなかったのです。

ある日、F君が急にアパートに帰って来なくなりました。
当時はまだ携帯電話も普及していない時代でしたので、
おおかた女の所にでもしけこんでるんだろう程度にしか思わなかったそうです。
ある夜、弟は夜中に目が覚めて、
自分が金縛りにあっていることに気付きました。
意識ははっきりしていて、目だけしか動かせない。
ふと足元を見ると、誰かが立っています。
それは、男性で軍服を着ていたそうです。
そして、襟の所に何かついている。
鳥の形をした階級章のようなバッジでした。

その翌朝、久しぶりにF君が帰ってきたので、弟は幽霊が出たとF君に話しました。
するとF君は
「なあ、そいつって襟のところに、鳥の階級章がついてなかったか?」
と言ったそうです。
実はF君も、弟が仕事で居ない夜に、
一人で寝ている時にそれに遭遇してしまい、恐ろしくて部屋に帰れなかったというのです。
弟は怖がりなので途中までは弟の見間違いかと思っていましたが、
どうやらそうではないようです。

「だからもう無理だと思って、帰ってきたんよ」
それまでは幽霊とかそういうものはいない、と思っていたのですが、
あながちそういう物はいるのかもしれないと思いました。

朗読: かすみ みたまの現世幻談チャンネル

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