スキー場

高校二年生くらいの冬の体験談です。

私達の通っていた高校では、冬になるとスキー場での授業がありました。

その年の冬のスキー場で、私はクラスメートの友人3人と一緒に初級コースの緩やかなゲレンデを滑っていました。

一通りのコースを滑り終えて、時間が余ったのでもう一回みんなで滑ろうかと話していた時です。

赤いスキーウェア姿の女性が、上級者向けの急な斜面を滑っていくのが見えました。

「あの人、すごいね…」

「上級者以上の人かもね、インストラクターさんかな?」

そんなことを話しながら、私達は最後に一回ずつ滑って終わりました。

スキー板やスティックを片付けて靴を履き替えていると、急に部屋の電気が明滅し始めました。

すると同時に、部屋が薄暗くやけに肌寒く感じたのです… 。

嫌な予感がした私は、一緒に片付けていた友人の手を掴んで逃げようとしました… 。

すると、あのゲレンデで見た赤いスキーウェア姿の女性が入ってきました。

私は間近で、その女性を見て気付いたことがあります。

女性の着ていた赤いスキーウェアは、本当は白だったという事に…。

そう、赤いと思っていたのは、その女性の頭から流れていた血だったのです……。

私は体が動きませんでした。

友人の声もやけに遠く聞こえます。

その間もゆっくりとこちらに近付いてくる血だらけの女性… 。

私はもうダメだと目をつぶった瞬間、不意に体が軽くなり動けるようになりました。

そのまま友人の手を掴んで走りだし、急いで帰りのバスに乗り込みました。

後から聞いた話ですが、数年前に若い女性があの急な斜面から落ち、亡くなったというのです。

その女性は頭から血を流し、白いスキーウェアが赤く染まっていたといいます…。

朗読: 繭狐の怖い話部屋

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