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田舎の廃公園

当時中学生だった私は、田舎の小さな町で暮らしていました。

本当に小さな田舎ですが公民館で毎年夏祭りが行われていました。
何もない田舎ですので町民にとっての一大イベント。
当然子どもたちは皆この日を楽しみにしていました。
私もその一人で、友達と夏祭りにでかけました。
町民のほとんどが参加するお祭りだったので 会場でほかの友達とも合流し、
同級生の女4人男5人で 出店をまわったりして楽しみました。

夜の21時になると学校の先生が見回りにくるため
見つかる前に帰ろうかという流れになっていたところ
「肝試しいかない?」 と、ひとりの男子が言いました。
お祭りでみんなテンションもあがっていて
夜に友達といる特別感も相まってか、みんな即賛成。
もちろん私も賛成でした。

お祭り会場の公民館がある場所から歩いて30分ほど 行ったところの山の麓に、
廃公園がありました。
広さでいうと小学校のグラウンド5面分程の広いもので、
昔は何万株もの花が植えられ観光客もきたり
お祭りをしたりして賑わっていた公園です。
ヒーローショーをやっていたステージ付きの建物や
軽食やかき氷などを売っていたお店の建物などが
いまも敷地内に残ったままです。

すぐ近くに同じ名前で引っ越したため新○○園、旧○○園と呼ばれ、
新○○園ができてからは手入れもされず荒れ放題で
立ち入る人はほとんどいませんでした。
そんな旧○○園に肝試しにいくことになりました。
公民館を出て旧○○園へとみんなで歩いて向かいます。
ただでさえど田舎で更に夜遅くということもあり
人通りも車通りもまったくありませんでした。

旧○○園に着きました。
公園の入り口には ようこそ○○園へ!という門があります。
全体的に錆びていて不気味な光景でした。
その門をくぐり公園内へと歩みを進めました。
「え?!」「なんで?!」
みんな同時に異変を感じました。
夜でも暑い夏の夜のはずが
その門をくぐった途端ひんやりと冷たい空気がまとわりついてきました。
「寒い」「すごいね」
私たちは夏祭りの余韻と夜遊びで高揚していて
このくらいの異変じゃ怖がるどころか更にワクワクすらしていたした。

少し歩くとステージや飲食店などの建物が集まったエリアに到着しました。
田舎で更に廃公園なので街頭などあるはずもなく
真っ暗な中を携帯のライトを頼りに歩きます。
「写真撮ってみる?なんか映るかも!」
と、Sくんが言い出しSくんの携帯で何枚か写真を撮りました。

次はあっちのほうにいこうかと話しながら歩いていると、
「待ってやべえ!!みて!!」 とSくんが声をあげました。
慌ててSくんがみている 携帯の画面を覗き込むと、
そこにはさっきみんなで 撮った集合写真がありました。
その後ろに真っ白な知らない女の人が立っています。
その姿を確認するかしないかのタイミングで
その女の人の姿が スゥっと消えました。
私達が見ている目の前で写真の中から消えたのです。
「きゃーーーー!」「まじ??」「やばくね?」「もう出ようや!」
みんな目の前で起きたことにパニックを起こし泣き出す女子も。
さすがにみんな恐怖を感じ一目散に公園を飛び出しました。

私を含めこのまま家に帰るのはみんな心細く感じたようで
自然とTくんのお家に流れることになりました。
Tくんのお家まで歩いている間に少しずつ落ち着いてきて
「すごかったね!」「月曜日学校でみんなに言おう!」
などと話す余裕も出てきました。

Tくんのお家につくとちょうどTくんのおばあちゃんが 起きていて、
お菓子やジュースを出してくれました。
「なんだったんだろうね」とみんなで話していると
「は??!」とSくんが大きな声をだしました。
どうしたのかとみんなで聞くと、
Sくんの彼女(今日は肝試しに参加していない)から
「え?いきなりなに?」とメールが届いたそうです。
Sくん自身彼女にメールを送った記憶がないので 何のことか分からず、
一応自分の送信履歴を確認しました。

すると、「こどもつくらない?」と彼女に送った履歴が残っていました。
Sくんは絶対こんなの送ってない、あの写真みてから
なんか気持ち悪くて携帯開けていないと主張。
メールを送った時間は、公園であの写真を見た時間でした。
私もみんなも血の気が引いていくのを感じました。
Tくんのおばあちゃんは、というより田舎なのでみんなそうですが
地元に長く住んでいて人脈も広く、
人口も少ないので地元のことは 何でもわかっています。
そんなおばあちゃんに 今日あったことを話してみました。

「・・・」
話を一通り黙って聞いていたおばあちゃんは
話終わったあともしばらく無言でしたがゆっくりと話し始めました。
「あの公園は昔、首吊り自殺があった」
それは私達こどもは全く知らない話でした。
「首を吊ったのは女の人で、ずっと子どもがほしかったが
なかなか子どもに恵まれず、それを苦に命を絶った」
「きっとまだいるんだね」

私たちはそれ以来あの日の話を誰も口にしません。
あの公園に近づくこともなくなりました。

地元を離れた今、年に数回帰省した時に公園の前を車で通ることがありますが、
門は更に錆びて 不気味さを増していて、でもまだそこに存在します。

朗読: 怪談朗読と午前二時

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