先輩

私は2年前いつまでも忘れることが出来ない体験をしました。

私はソフトテニス部に入っていたのですが、
性根が暗い分友達も出来ず陰で悪口を言われたりしていました。
先輩達からも何度か怒られてしまっていました。
しかしそんな私にも優しくしてくださった先輩がいました。
M先輩という人で周りからの信頼も厚く、
誰に対しても平等で優しくして本当に完璧な人でした。
そんなM先輩の性格からなのか、私はよく助けてもらったり
話しかけて貰ったりしました。

私はそんなM先輩に憧れて人を助ける仕事に就きました。
ですがその仕事は同僚同士の競争が凄く、
私は学生時代の頃のようにイジメを受けていました。
正直もう限界でした。
憧れて就いた職場でまた学生の頃のような仕打ちをうけるのかと思い、
絶望という感情が浮かび上がりました。

仕事帰り電車のホームでボーッとしていると後ろから
「桜子ちゃん!久しぶり!」と声を掛けられ、
振り返るとM先輩が立っていました。
「M先輩?!」
私はM先輩に会えたことの喜びで自然と笑顔になりました。
「大きくなったねーもう社会人だっけ?」
学生時代と変わりない、優しい笑顔で話しかけられ私は
「はい!3年目です。お久しぶりです」と答えました。
ここまでなら普通に悪くない返事だと思いました。
しかし何を思ったのかM先輩に会社の不安を話しました。
先輩は最後まで笑顔で聞いてくれました。
そして「それブラック企業じゃん!体大丈夫?」と言ってくれました。
なので私は「体は全然大丈夫です。ありがとうございます」と言いました。
すると先輩は「ううん。大丈夫じゃない!今度検査してみて」と言われました。私は曖昧に答え先輩とは別れました。

それから数日後先輩に言われたとおり検査を受けました。
そして検査結果ではストレスにより、
血管に腫瘍が出来ていることが判明しました。
そのまま検査していなかったら分からなかったし、
破裂するのも早かったかもしれないと言われました。
私はこの結果を聞いて先輩にお礼を言いたかったのですが、
先輩とは連絡も取れず、あれから一度会うことはありませんでした。

その何周間後の部活の同窓会で、
M先輩が2ヶ月前に亡くなった事を教えて頂きました。
きっとM先輩は私が死のうとしてるのと、
腫瘍が破裂するのを止めたくてあの時会いに来てくれたんだと思います。

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