南瓜

これは私がまだ小学生の頃の話です。

まだ母方の祖父母が元気だった頃、私は祖父母に会うのが嬉しくて、遊びに行くのがいつも楽しみでした。

祖父母の家は農家ではありませんが、庭で沢山の野菜を育てていました。

祖母はいつもその野菜を使った料理をご馳走してくれましたが、南瓜の料理だけは一度も出されたことはありません。

祖父母の家では沢山の猫を飼っていたので、幼かった頃の私は

「猫にとって南瓜は毒になるから、作っていないんだろう」と思っていました。

事実、沢山の野菜を育てている庭にも南瓜だけは一度も見たことはなかったのです。

それから数年後、小学生になった頃のことです。

ある日、私は自宅でテレビを見ていると電話がかかってきました。

祖父からの電話でした。

聞くと祖父母の家の庭に、大きな南瓜がなっているというのです。

私は母に電話を代わり、すぐに祖父母の家に向かいました。

祖父母の家に着いた私と母は、すぐに庭の方に向かいました。

祖父母と叔父が見ている先を見ると、蔓があちこちに伸び、畑一面に南瓜が転がるように生っていたのです。

今でも何故なのか分かりませんが、私はその時、その南瓜を食べてみたくなりました。

「おばあちゃん、私、南瓜食べたい。どうしてこの家では南瓜を食べてはいけないの?」

それを聞いた祖父母も叔父も、母も、それもそうだなと思ったらしく、祖父はすぐに一番大きな南瓜を選んでくれました。

そして祖母がまな板に南瓜を乗せて包丁で切ってみると、祖母が悲鳴をあげました…。

見ると、南瓜の中は空っぽでした。ワタも種もありません。

代わりに入っていたのは大きな蛇でした…。

蛇はシューと舌を鳴らしながらゆっくりと庭の方へと消えていきました。

祖父と叔父はすぐに庭に出て、南瓜の蔓の根元を掘ってみました。

「…………!!」

私達は息を呑みました。

その蔓は白骨となった猫の口から生えていたのです…。

朗読: 繭狐の怖い話部屋

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