そでをひく

さほど怖くないですが投稿します。

これは、むかしむかしの話 ・・・・・・・・・・・・といってもさほど昔でもないですが。

だいたい今から7年ほど前のことです。

僕らがまだ若く、娘の麻耶がまだ2歳の頃の話です。

僕らは夏の休みを利用して、富士山の麓の河口湖に遊びに来ていて、そこからすぐ近くの落ち着いた純和風の旅館に泊まったときの話です。

おかみさんも仲居さんも気持ちのいい人たちで、僕らはとてもゆったりとした気分で過ごしていました。

今はもう家族で旅行なんて想像もつきませんが、その頃は僕らも互いを思いやれる余裕もあったので^^

温泉に入り、食事をし皆で部屋でくつろいでると娘の麻耶が床の間の掛け軸の方を見て、あーあー何か言っているようでした。

娘「ちゅだり・・・ちゅだり・・・」

まったく意味がわからないのですが何か入っている模様でした。

掛け軸は子供が鞠をついている柄でおかっぱの女の子が横向きに描かれていました。

私「これはねえ、昔のボール遊びだよ。でも麻耶ちゃんはさわっちゃだめだめよ。」

掛け軸は古いというか年季は感じはしたが、むしろその下の花が活けてある花瓶は結構高価そうだったので、壊したら大変だとおもい、娘を抱いて引き離しました。

僕らは軽く飲みながら、テレビを見ていたのですが、程なくして見てた番組も終わり、さあ寝ようかとなりましたが、しかしながらなれない場所で興奮状態なのか娘がいっこうに寝ようしないのでした。

しかしながら寝ないことには僕らも寝れないものだから必死にあやし、寝かそうとしたが 麻耶はきゃっきゃしながら部屋を走り回っていたのでした。

嫁「まったく・・・こら麻耶ねなさ~い。」

また床の間の方に行こうとする

私「こら、あぶないからぁ。」

駆け寄り、麻耶と花瓶の間にすべり込むと、どこからかぼそぼそと 人の声が聞こえてくる。

となりの部屋の話し声なのか、よく聞き取れない。

さほど気にもせず、麻耶が急に抱きついてきて愚図り出したので 抱き上げた。

私「どうしたぁ?ん?ねむくなったかぁ?」

娘「あーぶーぅ・・」

隣の声「・・・・・・・ちょ・・・・い。・・・・・・・・・だい。・・・・・・・・・うだ・・・・。」

「?」 となりから聞こえる声に耳を傾け集中して聞いてみると・・

隣の声「ちょうだい・・。」

と聞こえる。

少し薄気味悪かったがなんのこっちゃと思いながら振りかえりながら、床の間を見たとき 僕は少しぞゎっとした。

そしてわかった。 声の主の所在も。

そして、あらためて掛け軸をよく見て見ると少し違和感があった。

構図的におかっぱの女の子の右側が思いのほか空いているのだ。

そう。 もうひとり子供が描けそうなくらいな感じに。

朗読: 繭狐の怖い話部屋

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