公園で

これは、つい最近体験したお話です。

私は、大学で運動部に入っていましたが、
就職活動のため運動が疎かになり、太ってしまいました。
友達からお腹を触りながら「お前太ったろ」といじられる日々が続き、
ダイエットしようと考え始めました。

ある時、就職活動が終わったらまた部活をやろうと考え、
近くの公園で走ることを計画しました。
公園って言っても遊水池でとても広く、駐車場があって便利なところです。
昼には犬を連れて散歩をする人が、
夜には仕事帰りのサラリーマンが走ってたりする普通の公園です。

私も走って痩せようと考えましたが、
思い立ったのが夕飯後で夜の8時過ぎでした。
「やるって決めたらやらないと」
私はそう考え、夜の10時過ぎに動き始めることにしました。
夜の10時過ぎになった頃、部活できていた運動着に着替え、
母親に 「ダイエットするからちょっくら走ってくるわ」と言って
出ようとしたところ祖父が
「あそこの公園か?」
「うん。なんで?」
「いや、別に。ただ、奥には行かない方が良いよ」
「うん。わかった」
そう言って玄関を出た時、奥になんかあったけ?と考え始めました。

その遊水池の外枠を囲むようにランニングゾーンがあり、
地面にスタート地点から何m走ったかわかるため良く利用していました。
しかし、家から奥らへんに雑林があるため気味が悪いと前から思ってました。
私はそのことだと考え、対して怖いと思ったことがなかったので
両耳にワイヤレスイヤホンをつけてお気に入りの音楽を流して走り始めました。

しばらく走ってて、奥の雑林が見えましたが気にせず走り続けました。
雑林は短い距離なので、すぐ曲がり角が見えたので
「なんもないじゃん」と思って曲がると
「ブツン」って音楽が止まってしまいました。
「え?」
突然だったのでびっくりしてしまいました。
慌ててスマホを取り出すと一時停止になっていました。
すぐに再生ボタンを押すとイヤホンから流れず、 本体から曲が流れ始めました。
「なんでだよ」とイライラしてました。
これも慌てて止めましたが あることに気づきました。
なんで、ワイヤレスの電源が切れてるの?
思わず鳥肌が立ちました。
強めに押さないと電源を切れないのに、
走ってて突然切れることはほぼありえません。

私は「なんでだろ」って考えながら歩き始めました。
遊水池のため、あまり街灯がなく少し暗い道でしたが
疲れていたため歩きました。
汗はダラダラなのに、タオルが無いから上着で拭きます。
「イヤホンまた買おうかな」って考えてたら、
ツーって体に何か巻きつきました。
はっきりと見えませんでしたが、経験上蜘蛛の糸だと気付きました。
「なんだ、蜘蛛の糸か」って思い、手を払ってまた歩き始めました。

その時、後ろが気になり振り返りました。
人の気配を感じたのに誰もいません。
気のせいかって歩き始めたら、また蜘蛛の糸が体に着く感じがしました。
「良い加減にしろよ」っとつい口に出してしまいました。
するとまた、人の気配を感じたので後ろを向きますが、誰もいません。
前を向いたらまた蜘蛛の糸が巻きつき、また人の気配がする。
これが交互に起こるため、私はパニックになり一目散に家へ帰りました。

翌日、「昨日あった出来事は気のせいだ」
と自分に言い聞かせましたが、やはり気になります。
私には1人の弟がいるので、
弟に面白おかしく伝えて怖がらせてやろうと思いました。
弟は、ホラー映画を嫌うほどの怖がりなので
笑いながら昨日のことを伝えました。
しかし、いつもなら「うるさい」だの「最低だな」と
話すことを辞めさせようとせず、全く怖がりません。
おかしいと思ってたら弟が
「にいちゃんがパニックになったところってさ、あそこ?」
と聞かれ、場所を説明したところ「やっぱり」と言われました。
まるで、その場にいたように話すので
「なんで分かった」って恐る恐る聞きました。

弟が言うには、私の音楽が止まったところは健康遊具が多くあり、
昼間は近所の老人らが使っている場所があると。
しかし、数年前にある遊具で首吊り自殺をした人がいて、
今でも深夜になると幽霊として徘徊している。
と地元で隠れた心霊スポットになっているとか。
これを聞いて思い出しました。
祖父が心配していたのは雑林ではなく、このことだと。

実は、霊感っていうか我が家では、
「良いことがあったら先祖のおかげ。悪いことは先祖からの通告だ」
って祖父母は考えていらようで、
何かを感じたのでしょうか?

幸い、首吊り自殺をした遊具の前を走り抜けたためか、
今のところ何も危害などはありません。

もし、あのまま気にせず歩いてたらと考えたら、
もう夜遅くに走りには行けません。

朗読: りっきぃの夜話

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