始まり。

小学校3年生の時、友達が死にました。

ずっと病気だったので、 覚悟はしていたつもりでした。
その日から僕の世界は、 僕の知らない世界と交わるようになったのです。
最初は気のせいだと思っていました。
突然感じるようになった視線も、 寝ている時に見る夢も、
不意に聞こえる声も、 気のせいだと思い込んでいたのだと思います。

同年のある日、お風呂から出ると 目の前の廊下を白い着物の女性が、
僕に背を向けた状態で歩いて行くのが見えました。
それからその女性を頻繁に見る様になりました。

数日経ったある日、 僕は部屋で探し物をしていました。
何を探していたのかは思い出せませんが、
中々見つからなかったのを覚えています。

すると突然後頭部あたりから
「あそこにあるじゃない」と言う 女性の声が聞こえたのです。
その声ははっきりと、 耳ではなく脳に直接聞こえてきたのです。
その時不意に 「あ、本当だ」と 返事をしてしまいました。

今までは気のせいだと流していた事に、
見て見ぬ振りをしていた其れに、 答えてしまったのです。
その瞬間、確かに聞こえました。

「ずっと見えてたでしょ?」
僕は咄嗟に部屋を出て、 何故かはわかりませんが、外まで走っていました。
それが僕と女性の初めての出会いでした。

そして、これから起こる不思議な出来事の、 始まりでもあったのです。

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