これは16年ぐらい前の事です。
私たちは車の免許をとりたてで、肝試しスポットに行くのが趣味になっていました。
ある日、友人が「やばい所見つけた! ここ行って見よう!」と言い、その場所に行くことになりました。
その場所とはM県にある、6人が殺害され、最後に犯人が自殺したことで7人殺しと言われる事件があった現場でした。
今はもう取り壊されているみたいですが、当時は事件があったままの姿で残っていたのです。
夜になり、友人四人と車で現場に向かいました。
結構な山道を抜け、現場に着いた時は普通の民家だなーと思っていたのですが、中に入るとその印象は一気に消え去りました。
中に入るなり、体感温度で5度は下がったような寒さを感じ、 友人たちと「いや、ここはマジで怖い」など話しながら辺りを探索しました。
壁にはブルーシートがかかっていたり、畳には茶色い染みなどがあったので「これって血なのかな?」「本当に事件があった時のままじゃん」など話しながら、 もう帰ろうということになり、帰宅することにしました。
その帰り道、山道なのですが、テレビ塔につながるのぼり道と家に帰るくだり道があることは解っていました。
しかしあるはずの下り道がなかなか現れません。
それどころか、どんどん道は悪くなり、道に苔とか生えていたり、明らかに最近車が通った痕は見当たりません。
友人が「道間違えたんじゃない? これ多分テレビ塔の方だよ」と言っていたので 、私も「俺もそう思う、Uターンできるところがあれば引き返すよ」と答え、Uターンができる場所を探していました。
3分くらい走ったときでしょうか。
急に車が ずざああああああ、 と急ブレーキをかけられた感じになり停止しました。
「えっ? えっ? 何? なんで?」
私も友人もパニックになり、とりあえず外に出て車を確認しました。
何も変わったところはないな、と思いながら車の下を覗くと、大き目の丸太がタイヤに挟まっていたのです。
「何で? 丸太? お前これ見えなかったの?」と友人に言われましたが、見えないというか普通そんなもの踏んだら気がつくよな、とか話しながら、とりあえずタイヤ交換用のジャッキで車を上げ、丸太を取る事には成功しました。
無事にUターンを済ませ、今度は迷わないようにカーナビで自宅までの道を登録し案内を任せました。
しかし、下り道を発見してからは道は覚えていたので、カーナビを見ずに車を走らせていたのです。
家の近くになって気がついたのですが、カーナビが自宅のほうに案内していないのです。
「ん? 自宅に設定したつもりだけど?」と思いながら目的地を調べてみたら、私の地方に一つしかない火葬場だったのです。