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揺れる家

これは私が小学2年生の頃の話です。

毎年お盆の時期になると母方の実家である祖父母の家に遊びに行っており、
田舎だということもあって、家の中ではすることも無いので
いつもは外で遊ぶのですが、その日は日光が非常に強く、
日陰にいても汗が滝のように流れ出る程の暑さだったので、
とても外で遊ぶような気分にはなれず、姉と家の中で遊ぶことにしました。

祖父母の家はざっくりいうと、
祖父母の寝室、居間、仏壇と神棚がある部屋の3つの部屋が
それぞれ襖で区切られている平屋の建物になっています。
私と姉が遊ぶことにしたのは仏壇と神棚がある部屋なのですが、
だいたい40平米くらいの部屋のため子供2人で遊ぶには充分すぎる広さでした。 その部屋の小壁の部分には、
これまでに亡くなった家族の肖像写真がずらーっと飾られていて、
その全てがモノクロ写真なせいもあり、
当時小学生だった私にとっては少々不気味に感じる部屋でした。
ただ祖父母の寝室はあまり広くは無かったですし、
居間には他の家族全員がいたこともあり、
その部屋しか遊べる場所がありませんでした。
写真のことは出来るだけ気にしたく無かったので、
私は部屋に入ってすぐに遊び始めました。

最初はままごとや本を読んだりしていましたが、
体を動かしたくなった私は、おもちゃ箱に入っていたボールで遊ぼうと
姉に提案したのですが、姉には断られてしまったので
1人で遊ぶことにしました。

10分程度遊んでいると、流石に飽きてきましたが、
他にすることも思いつかなかったので、
ただボールを天井に投げてはキャッチする、というだけの動作を
しばらく繰り返していると、誰かに見られているような視線を感じました。
最初は姉かと思いましたが、姉は遊び疲れたのか寝てしまっていたので、
気のせいかと思いボール遊びを再開しました。
しかしやはり視線を感じます。
それも上の方から見られているような気がして なりません。
おそるおそる小壁の方に目を向けると、
たくさんの写真の目に一斉に見られているような 感覚になり、
怖くなった私は写真から目を反らそうとしたとき、
ある写真の人と目があった気がしました。
それは60代くらいのおじいさんで、 特に特徴のある顔では無かったのですが
何故か目を離すことが出来ませんでした。

誰だろう、と思っていると突然ドスンと大きな音が響き、
部屋がガタガタガタと揺れ始めたのです。
とても大きな音と振動だったので姉も飛び起きたのですが、
恐怖で私も姉もその場から動くことが出来ずにうずくまることしか出来ませんでした。
10秒くらいたった頃、ピタッと揺れがおさまったので、
急いで家族のいる隣の居間へ走りました。
私たちがいた部屋と居間をつなぐ襖を開けた時、
私は目の前の光景にとても違和感を感じずにはいられませんでした。
祖父母や両親たちは机を囲みお茶を飲みながら談笑していたのです。
あれだけ大きな音と揺れがあったのにも関わらず、
まるで何事も無かったかのように。

ただひとまず家族の無事が確認できましたし、
あまりにも日常的な光景だったので
私たちも気が抜けてすぐに落ち着くことが出来ましたが、
一応聞くだけ聞いておこうと思い、
「さっきの揺れすごかったけど大丈夫やった?」 と訪ねました。
すると私と姉を除く家族皆が不思議そうな表情で
「なんのこと?」と聞き返してきました。
私はまた混乱しつつも先程までのことを 話したのですが、
皆そんな音聞いてないし揺れも 起きてないと言います。
平屋の家ですし築年数も何十年とたっているので
あれだけの揺れで何の影響も無いなんて あり得ないはずなのですが。
皆で嘘をついているのかと思いましたが、
そんな嘘をつく理由もわからないですし、
何より本当に知らないという感じだったので、
もう聞くのを諦めることにしました。

ただ、私がボール遊びをしているときに
目があったような気がしたおじいさんに ついて祖父に聞いてみると、
あの人は祖父のお兄さんらしく、
生前は野球が好きでよく近所の子供とキャッチボールをしていたのだそうです。
またあまり多く喋る人ではなかったらしいですが、
笑うときは全身を小刻みに揺らしながら 笑う人だったようで、
祖父は 「◯◯を見てまたキャッチボールでもしたくなったんかもな」 と、言っていました。

それからも毎年お盆の時期には祖父母の家には 行っているのですが、
その現象が起きたのは その日だけでしたし、
数年前に家をリフォームして 肖像写真もしまわれているので、
恐らく もうあの不思議な体験をすることも ないのだと思います。

朗読: 【怪談朗読】みちくさ-michikusa-

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