末妹

これは母が幼いころに起きたことです。
母が9歳くらいの頃、夏休みに母の母親(私の祖母)の実家がある九州に里帰りをした日のことです。

母が寝ていると天井にぽっかり穴が開いていたそうです。
その部屋には天窓(屋根裏に続く入口)というものがあり、昔の古い家屋にはわりとあったらしいのですが、そこから知らない女性が下りて来ました。

おいで、おいでと言うように手を手招いたそうです。

母は起き上がり女性の後を追いました。
恐怖心はなかったそうです。

家の前に川が流れているのですが、その前にその女性が佇んでおり手招きを繰り返します。 そばに行こうとすると、自分が居なくなったことに気づいた母親に名前を呼ばれました。
気づくとそこにはもう女性の姿はありませんでした。
そのあと、手招いた女性の事を祖母に話すと「それは妹だ」と言いました。

祖母には兄弟がいて、一番下に妹がいました。
妹は体が弱いこともあり家にいることが多かったそうです。
祖母は長女で丁稚奉公をし、毎日必死に働いていました。
そんな中、体が弱い末っ子ということもあり、家族から可愛がられていた妹が家族で一番嫌いだったそうです。

しかしある日妹さんは川に身を投げて亡くなります。
理由についてですが、母は詳しく聞いていないそうです。
そのことで祖母は何もしてあげられなかった、もっと可愛がってやれば良かったとひどく後悔していたそうです。

そして余談なのですが、私の母はその妹さんの生き写しだったそうです。
母は霊感があるのかはわかりませんが、そういった体験をいくつかしているそうで、当時よく話してくれました。
けど先にも述べましたが恐怖心は一切なかったと話していました。

妹さんの名前に沈( しずみ )という漢字が使われているらしく、妹は川に沈んでしまった。自分の子供に水や川にちなんだ名前はつけるなと言われていたそうです。
また祖母は奉公先で酷い扱いをされていたらしく、だから余計に妹のことを嫌うというか妬んでいたそうです。

私自身に霊感は全くないんですが、金縛りや声みたいなものが聞こえたりします。ほんとにたまにです。

朗読: 朗読スル脛擦(すねこすり)

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