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見えない弟子

これは私の若い友人のお話。

彼女はフリーで舞台衣装関係の仕事をしているのだが、
不思議な仕事仲間、というか弟子がいるという。
まあ和物から洋装まで、いろいろな素材を抱え込んでいるから、
常に部屋は衣装で満杯。
それでも演出や役者連中は好き勝手注文を付けてくるから面倒臭いことこの上ない。
わけのわからん注文に悩んでいると、夜中にクローゼットや衣裳部屋からゴソゴソ音がすることがよくあるのだという。
不思議に思って行ってみると、なんとなくコーディネートされた衣装がきちんとおそろえて置いてある。
ところがである、このコーディネートがダサいの一言。
とてもじゃないが恥ずかしくて外を歩けたもんじゃいない代物らしい。
それがしょっちゅう続くため、さすがに彼女も参った。
誰がやっているのかわからん上に,美的感覚を破壊されそうなコーデを毎回見せつけられちゃかなわない。
どう考えても、やってるのは任毛とは思えない。
昼夜関係なしにゴソゴソする音が聞こえるし、気色がよくないのである時、
何とか正体をみてやろうと強引に音がするクローゼットに突撃したらしい。
するとそこにいたのは、年のころは20代中盤、
お世辞にも美人ともおしゃれとも言いかねるドン臭いお姉ちゃんだった。
どうやらファッションには強い興味があるが、
まったくセンスのかけらもないようだ。
「あんたね、いろいろやってくれるのはいいけど、
どうしようもないコーデを勝手に作るのはやめてくれる?
こっちは仕事なんだから遊ばないで」
と、きつくそのオブスチャンに言い渡したそうだ。

それがなんと20年ちっかう前の話。
それでもあんまり悲しそうな顔をするので、
まあ仕事の邪魔をしなきゃ、そこで遊んでてもいいし、もう少し勉強しなさい、と放任したらそれはそれは嬉しそうな表情に変わったという。
「実をいうとさ、それからずっといるんだわ。ただセンスは死んでからも変わらないもんだね。いつまでたっても成長しないんだこれが。
もう少しまともになれば、助手にしてやるのにさ」と彼女は苦笑い。
しかも不思議なことに、20年たっても出てくるときの姿は、初めて見たとき鵜と同じ20代。
どうやらアイドル系が好きみたいで、
やたらド恥ずかしいぶりっ子スタイルをしたがるのは、
いつまでたっても変わらないという。

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