ドラえもん

これは私が中学生の時のお話です。

私には4歳下の弟と12歳下の妹がいます。
妹が3歳になり、拙いながらも話始めたころ、当時住んでいた家の2階へ続く階段に向かって 「ドラえもん」と言うようになったのです。

最初のうちは家族全員、なんのこっちゃ??と思っていたのですが…。
母と私は強くはないのですがいわゆる「霊感」というものが少しある人間で、たまに見えてしまう時があるのです。

その日はその「たまに」に当たる日で…。
その日、私は学校から帰ってきて、1階の子供部屋に学校の荷物を置いて2階に行こうとしたら、 1階で遊んでいた妹が階段を指差し、ニコニコの笑顔で少し興奮気味に「ドラえもん!!」と騒ぎ出しました。

私はいつものことか…と思いながら「はいはい、ドラえもんね」と適当に妹をあしらいながら階段に足を一歩踏み出したとき、 「それ」は見えたのです…。

階段の5~6段目あたりに青いトレーナーを着た上半身だけの男の子…。
ニコニコと笑ってこちらを見ているのです。
(これがドラえもんに見えていたのか…)と思いました。

その男の子を見たことは家族には言わなかったのですが、
数日後、母から私が見た男の子と同じ服装の子を、 同じ場所で見たという話を聞き、あぁ、やっぱり居たのか…と思いました。

それから更に数日後、弟は修学旅行で不在、家族4人で過ごしているとき、夕食のお刺身を切っていた父が誤って指を切ってしまいました。
結構傷が深かったため、病院に行こうということになり、タクシーを呼んで病院へと向かおうとしたときです。

父は助手席、母、妹、私は後部座席に乗り込んだのですが、私が乗り込むか乗り込まないか…というところで タクシーの運転手さんがバックミラーを見ながら言ったんです。
「かっこいい青いトレーナーね!僕くん!!」って…。
タクシーの運転手さんにも見えていたんですね…。

朗読: 榊原夢の牢毒ちゃんねる

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