赤いジャンパースカート

20年前に住んでいた会社のアパート。
就職をして会社が建てた新築のワンルームに引越した。
日当たりもよく気に入っていた。

いざ住んでみると なんだか見られている。
視線をかんじてしまう。 
金縛りにあうわけでもない。
声も聞こえない。

しかしだ。
ひと月もたたない夜におきた。
天井が高い作りで 玄関のドアの上に擦りガラスがはいっている。
およそ2mかな。赤いものが通った。

毎日通るようになった。
不思議と怖くはなかった。
二週間たった頃玄関の前で止まるようになった。
1分もいないと思うけど。

しばらくして赤いものが、しゃがむように下へ降りてきた。
そして玄関をすり抜け入ってきた。

赤いジャンパースカートを着た女の子だった。
部屋の中のクローゼットの前で体育座りをして、
壁にむかってブツブツ言っていた。 
何をいっているのかわからなかった。

その女の子は昼間もクローゼットの前で体育座りしていた。
怖々と「どうしたの?」と聞いてみた。
「ママが見つからないの」と呟いた。

時々居ないことがあったが探していたんだろう。
お祓いに行くべきか悩んだ。
取り憑かれた霊を他所に置いてこれる友人にはなしてみた。
近く成仏するはずだから、気にせずそっとしておいてあげればとの事。

悪さはしないし大丈夫だから。
いくらそう言われても。

でも少女のおかげなのか金縛りにあわなくなった。
今までは週2でなっていたのに。

様子を見る事にした。
ココアをいれてあげていた。
夕飯を食べる時ご飯も少し入れてあげたりしていた。

穏やかな同居だった。

3ヶ月くらいたった頃少女が薄くなっていくのがわかった。
そろそろなのかなって思ったが。
少女は泣き始めた。
ティッシュも置いてみた。

ママがいたけど一緒にはいられないって。
だから迎えがきたら上がるねって。
でも会えたから良かったねって言ってあげた。
初めて私の顔を見てくれた。泣いていた。
そして薄くなって消えていった。

いれてあげていたココアが初めて減っていた。
怖くなかったけれど 脱力するような肩の力が抜けた。

あれから少女をみていない。
ママの次の子に生まれ変わってくれてたらなと思った。

私はその後3年住みました。
金縛りにはあいませんでした。
少女が助けてくれたのだと信じてる。
引っ越したら金縛りににあいまささたから。

朗読: 【怪談朗読】みちくさ-michikusa-
朗読: 朗読やちか
朗読: ゲーデルの不完全ラジオ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

閉じる