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もう一人の

私は昔から、不可解な出来事に度々遭遇します。
別に霊感があるとか、そういうわけではないのですが……。  
これはそんな私が四年前に体験した、不思議な出来事の一つです。  

私は朝に弱く、目覚ましで一度起きた後も、
しばらくの間布団でうつらうつらとするのが常なのですが、
その日はやけにスッキリと目が覚めました。  
珍しいな、と思いつつ身体を起こしたとき、部屋の外から母と、誰かが話している声が聞こえてきました。  
私はその「誰か」の声に、ひどく馴染み深いような感覚を受けました。
「親父じゃないな、誰だろう」  
私は不思議に思いつつ自室を出て、声のする方………リビングへと向かいました。  
リビングに近付くにつれ、私の中には名状し難い、一種の不快感のようなものが芽生え始めました。
例えるなら、軽度の乗り物酔いの際に感じる、頭が重い感じ。  
何か気持ち悪いなぁと、リビングのドアノブに手をかけたその瞬間、
「あっ、もうバレた」  
という「誰か」の声が聞こえたかと思うと、突然、目の前のドアが向こう側から勢いよく開かれたのです。  
果たしてそこに立っていたのは、私のよく見知った人物でした。  
いえ、見知っているというより、それは私自身でした。  
その時になって、既知感を覚えた「誰か」の声は、
私自身の声であったということに気付きました。  
呆気に取られる私を、ドンと突き飛ばした「私」は、
そのまま私の部屋の方へと駆けていき…………………バン!!  
ドアを勢いよく閉める音に驚き、私は目を覚ましました。  

周りを見渡し、そこが自室の布団の上だということに気付いた私は「あぁ、夢か」 と察しました。  
驚いたのと、変な夢を見たのとで、しばらく布団の上にボンヤリと座っていると、 「◯◯、どうした?」 と、母が自室に入ってきました。  
母の質問の意図がよく分からず、「もしかして(寝言で)何か叫んどった?」と聞くと、母は不審そうな顔をしつつ経緯を話してくれました。  
今朝、母が朝食の準備をしようと起きてくると、
いつもは遅起きな私が、既にリビングに居たのだというのです。
驚く母を他所に、私は他愛もない話を始め、しばらくの間、母は私と談笑をしていたのですが、
つい先程、私は突然「あっ」と何かに気付いたかのように立ち上がると、勢いよく部屋を出ていってしまったのだとか。  
変に勢いよくドアを閉めた音が聞こえたから何事かと思って来てみた、という母の話を聞いて、
私は「また変なことに遭遇したな」と、苦笑いをする他ありませんでした。

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