明日になれば・・・

誰か、オレの話を聞いてほしい。
マジヤバイんじゃないかと不安になっている。どうしたらいいか相談だ。
実は俺には5歳になる娘がいるのだが、この子には幽霊が見えるらしい。

最初に気づいたのは去年の冬ごろ。
娘を連れて買い物帰りの夜道を歩いていると、
「あっ、パパ、お空に白い人がいるよ」と言う。
もちろんオレの目には何も見えない。
「だんだんゆっくり上にいくよ」と言う。
「あっ、あっちにもいる」
「こっちにもいる」
そんな娘を不思議に思いながら家路についた。

翌日のことだ。
娘が最初に白い人がいると言っていた場所のすぐ下に位置する家が、葬式の準備をはじめていた。
俺は嫌な予感がして、娘が他にもいると言っていた方へ足を運んでみた。
当たりだった。
ここ最近急に気温が下がったせいか、俺のいる町内だけで3人ものお年寄りが亡くなっていた。
そんなことがあってからというもの、できるだけ娘を夜に連れ歩くのをやめた。
夜にはどうしても見えてしまうらしい。
一度、クルマで旅行をした帰り道、たまたま夜に大病院の前を通ったときは大変だった。
病院の上を何人もの白い人が歩き回っており、
しかもそれがとてもキレイだと言うのだ。 確認はしていない。
まさか病院に行って「お宅の病院、昨晩何人死にましたよね?」なんて聞けるわけもないし。

そんな不思議なものを見てしまう娘だが、寝顔は天使のようにかわいい。
人は子供時代によく不思議なものを見るなんて話も聞くし、
たぶんこれも一過性のものに違いない。
そんな風に自分に言い聞かせながら娘の寝顔を眺めていた。
なんだろう、楽しい夢でも見ているのか笑っているように見える。
部屋の電気をつけてしまったせいか、娘が起きてしまった。
「ごめんごめん、おこしちゃったかな~?」
娘はどうやら夢を見ていたらしく、目をこすりながら夢の内容を伝えてきた。
「あのね、あのね、アタシ、空を飛べたの。
白い体になってふわふわ~って。パパもママも一緒に仲良く飛んだの。
ほかにもいっぱい飛んでたの。いっぱいいっぱいいっぱいいっぱーーいでみんなで飛んだの」
これはいったいどういう事なんだろう。
俺はしばし呆然とした。まさか・・・嫌な予感が走る。
果たして笑い飛ばしてよい話だろうか?俺にはどうしてもそうは思えない。
もしもこれが何かの予知のようなものなら、そんなに余裕はないはずだ。
娘が白いものを見た翌日には葬式になっているのだから。

困ってこの話をSNSに投稿してみたものの、そんなことをしている場合じゃないかもしれない。
どうする?どうする?
「そうだ、実家だ、田舎のじっちゃんのトコに行こう。」
・・・俺は妻にすぐ旅行の準備をさせ、ぐずる娘にも服を着せ、クルマを走らせることにした。
「明日会社はどうするの?」と妻が言ってきたが、それどころじゃない。
明日のことは明日になってから考えよう。
今自分は激しく嫌な予感に突き動かされている。
なに、間違いだったらそれでいいじゃないか。あとで笑い話にしよう。
明日になればすべてわかることだ・・・。

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1件のコメント

  • kama より:

    ×「明日会社はどうするの?」と妻が行ってきたが

    〇「明日会社はどうするの?」と妻が言ってきたが

    誤字大変失礼いたしました。

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