私は一人旅が好きだ。

漠然と地域を決めるとそこへ足を運ぶのだが、
現地に着いたらその知らない土地の空気を肌で感じながら勘を頼りに歩きだす。
しかしそんな感じで歩きだしてしまうものだから、
腰を据えて落ち着くまで長い時間がかかってしまい、
足が棒のようになってしまうことも少なくない。
また、知らない土地を歩いていると普段見慣れない人間がいることが珍しいのか何なのか、
現地人から声をかけられることが多く、その度に肝を潰した。

私は人一倍臆病なのだ。
更に私は口が重く、人と話すことが非常に苦手でもある。
だが、知らない土地には喉から手が出るほど欲しい”もの”がおり、
つい食指が動いて話しかけようと手が出てしまうことがあった。
その時は自分自身のことながら酷く慌ててしまった。
落ち着いてそれを乗り越えるのに大分骨を折ったことを記憶している。

しかし旅はやめられない。
以前両親に旅をやめるようにと言われたが、旅をやめる気は微塵もない私は、
彼らの首を縦に振らせるのにかなりの骨を折った。
私はこれからも新しい”もの”を探しに一人旅を続けるつもりだ。
人一倍大きな荷物を持って。

私は旅が好きだ。
次はどこへ身を運ぼうか。

朗読: りっきぃの夜話

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