【心霊写真を否定する先輩カメラマン】

「心霊写真なんて全部失敗写真なんだよ!」
と豪語するのがボクの先輩でカメラマンのM氏。

M氏にいろいろな心霊写真を見せると、次から次と解説してくれた。
「ダムに行ったらオーブ?それはただの水滴だ!」
「緑色の光?それ、バックに映ってる照明の光がレンズ内で反射してるだけ!」
「足が消えてる?ほら、こーゆー姿勢取れば片足に見えるだろ?」
とポーズまでとって、ありとあらゆる心霊写真を否定してくる。
「昔のカメラはフィルムの巻き上げとか不具合のあるものもあって、
意図せず二重露光したりもしたし、
逆に最近のデジカメは安いレンズ使ってて
逆光でおかしなフレアを作ったりするし、
シャッターと動体の速度がシンクロして、
ハエがスカイフィッシュになるんだよ」
次から次と否定してくる先輩の話を、
さすがカメラマンだなぁと感心しながら聞いていた。

「特に、プロカメラマンというのは
ファインダーに映るものすべてを計算づくで撮影してるんだよ。
だから、撮った時は気づきませんでしたが、
後で現像してみたら何かが映ってましたなんて言うのは、
プロとしてあり得ないんだよ。失敗だよ、そんな写真は全部失敗写真なんだよ」
と、豪語したあとでもう一言追加の言葉が出た。
「オレも若いころはよく失敗したわ・・・」
「えっ?」
ボクは聞き返した。 続けるM氏。
「意図しないものが映る。これが失敗写真なのは当然だ。
だけどなぁ、オレも何度かあるんだよ、そーゆー失敗をしたことがな・・・」
ボクは驚きながらM氏の顔を見た。

「あるとき、これからオープンするゴルフ場のパンフレットを作りたいってことで、
その新築のゴルフ場の撮影に行ったんだよ。
キレイなグリーンの芝生の写真を撮ったはずなのに、出来上がった写真を見たら、
グリーンの向こうに、お爺さんらしき人が立ってるんだよ。おかしいだろ?
オープン前なんだぜ?誰も入ってこられるわけないんだよ。
第一、撮影の時は構図ギメからして計算づくで、
ファインダーに映るものすべてに神経とがらせてんだよ。
偶然誰かが映りこむなんて100%ないんだよ。」

当時はフイルム撮影だったので、その時点ではおかしなものが映っているとは気づかず、M氏はその日の撮影を続けたそうだ。
「そのあとクラブハウスの撮影もしたんだけど、地下から上に登る階段のところで、
やっぱりお爺さんがこっちを見て立ってんだよ。バッチリと。
そんなもん、いるはずないのに!」
ボクは驚いて叫びながら聞いた
「ええーーっ!で、そ、その写真ってどこに??」
M氏が冷静な顔でこう言った
「だからぁ、意図してないものが映ってるのは全部失敗写真だって言っただろ?
そんなもんボツだよ!全部捨てたに決まってるだろ。」
「えええ~~!!・・・もったいない・・・」
もしも先輩がオカルトに理解のある人だったら、
今頃プロカメラマンが撮った心霊写真としてあちこちに掲載されていたかもしれませんが・・・
いやもしかして、プロカメラマンの人たちって、
やっぱり心霊写真は全部捨てているのでしょうか??
・・・とても気になります。

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