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狩り宿の男(※犬注意)

この話は、ハンティングを趣味とし、狩りの仕方や銃の扱い方など
幅広い知識を持っておられた知り合いから聞いた話です。

もともとはもっと長い話なのですが、
今回は怪談のために少し短めにまとめました。
また、話の中には犬に対する虐待のシーンがありますので、
そのような話に耐えられない方は ここで読むのをおやめください・・・
【犬注意】

ハンティング=狩猟というと、鉄砲をかついで山の中に分け入り、
クマやイノシシを撃ち殺す仕事だと思っている方も多いと思いますが、
実際には銃の扱いには非常に厳しいルールがあり、
あてずっぽうに山に入るわけではなく、
知識と経験、それに裏打ちされた勘、
そして チームワークも必要となるとても高度な活動です。
また、ハンターと言えば銃さえあれば誰でもできると勘違いされますが、
実はハンターにとっては「1に犬、2に脚、3に鉄砲」であり、
最も大事なのは銃ではなく、相棒である猟犬と言われています。

とある山奥の猟区に、狩猟のベース基地となる「狩り宿」を営む
「ノテさん」とあだ名される男がいました。
「ノテ」とは乱暴者のことを指す言葉です。
ノテさんは狩猟期間内はハンターたちの案内人をし、
オフの間はハンターたちから犬を預かり訓練をして生計を立てています。
彼は「ノテ」と呼ばれる通り野蛮なイメージの男ですが、
狩猟犬の訓練にかけては県内一とも言われていました。
あるときハンター仲間で歯医者のAさんが、
アメリカからチャンピオン犬の血統を持つ
ポインターの仔犬を120万円で購入し、
ハンター仲間に自慢たらたら見せびらかせ、
それを訓練のために山へ連れて行きました。
すると、手を離した途端、猛烈な勢いで走って行ってしまい、
呼べど叫べど戻ってこない。
ようやく車に戻ったのは夕方だった・・・ということがありました。

日本の猟は山で行うのが主体なのに対し、
アメリカでは大草原で馬にのってハンティング。
そのため草原を猛スピードで走る 猟犬へと進化してきたのです。
このポインターはまさにそんな猟犬でした。
そこで歯医者はこの大事なポインターの仔犬を
日本の山野に合うよう訓練するため、ノテさんに預けることにしました。
ポインターを受け取ったノテさんは訓練して早々、サジを投げてしまいました。
走るように作られた血統は訓練ではなかなか直すことができない。
ましてチャンピオン犬の血統です。
考えあぐねたノテさん、あろうことか、
この仔犬の前足を鉈で1本切り落とすことにしました。
「こうすれば早く走ることはできないだろう」

・・・一ヵ月後、傷口が治ったところで再び仔犬を山に連れていきましたが、
3本足にもかかわらず、仔犬は山野を駆け回り、
その辺に生息しているキジやヤマドリを追い払って帰ってくる始末。
日本のハンターからしてみれば、ダメ犬・駄犬以外の何物でもない。
そう思ったノテさんは、 今度は仔犬の後ろ足も1本鉈で切り落としました。
・・・また一か月後、傷口が治ったところで仔犬を山に連れていきました。
ところが・・・と言うか、当然と言うか、
二本足になった仔犬は走るどころかまったく動けなくなっていたのです。
これでは犬を預けてきた歯医者に言い訳もできない。
そもそも役に立たなくなった猟犬に無駄飯を食わせておくわけにはいかない。
そう思ったノテさんは、仔犬の残った足も切り落とし、
最後には頭も切り落とし、解体して犬鍋にして食べてしまったそうです。
120万円の犬鍋です。
骨は裏庭に埋め、歯医者には山へ走っていってしまい
行方不明になったとごまかしました。

ただ、犬を食べたノテさん。
その後はほかの犬たちがノテさんに吠えまくるようになり、
訓練がうまくいかず、 とうとう犬の訓練は廃業に追い込まれたそうです。
それに、毎晩のように夢にうなされるようになったそうです。
包帯でくるまれてイモムシのようになった仔犬が
夜な夜な布団に這い上がってくるそうで、 ノテさんはそれを追い払うために、
いつも寝床の横に鉈を置いて寝ることにしているそうです。
深夜、鉈で空を切る狂気の姿を思い浮かべると、哀れでしょうがありません。
人の道を外れた報いでしょうか。

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